夢を見た。
もうろうとしててごめん、ざっと話すとこんな感じだ。
長谷川のオヤジが残した古いアルバムは戦時中のものだった。
陸軍将校。
皆が整列する写真。
いつの間にか写真の中にいた。
白黒ではなく現実の風景は美しいカラーだった。
そこにはとても若い長谷川のオヤジが居て、オヤジというよりも同級生の様だった。
夜、空襲警報が鳴る。
南方の島の様な田舎道を、たくさんの人が荷物をまとめ逃げてゆく。
軍人たちが皆を誘導している。 火の粉がとぶ。
そこでその風景は白黒写真にもどり、長谷川のオヤジは、もとの老人となって目の前にいた。
オヤジは、昔進駐軍たちが戦争の首謀者を探していた頃、人里はなれた場所で将校たちを斬首し、その首を道に晒して、責任をすべて「首」になすりつけようとしたか何だかの、誰も知らない歴史を語った。
俺は興奮した。
その景色に中にさっきまで居たんだ。
総天然色の戦時下の、むちゃくちゃな時代の田舎におれは居たんだ。
戦争責任は将校たちにあるんじゃない。将校たちは身を呈してたたかったんだ。
生き残りは今や主張らしいこともすることのない老人だった。
真実は彼らとともに滅びようとしていた。
人生なんて短いな、と思った。
平安な世の中なんて、ほんとは無いんだな、と思った。
よく寝た。7時から11時半までの4時間半。
4時間半でいい旅をしたよ。
いつどんな「今」だって、いずれモノクロ写真の風景画に変わる。
今を大切に生き、伝えるべきことは伝えなければだめなんだって、誰だっけ・・・誰かも言ってたな。