忌野清志郎が、来日公演中のジェームス・ブラウンと面会した。

ジェームスは

「なんてこったい!俺の若いころそっくりじゃねえか!」

と言って清志郎を喜ばせた。

あまりに嬉しかった清志郎は、翌日もジェームスの楽屋へと足を運んだ。

その日は先客がおり、清志郎はドアの前で待たされた。

「なんてこったい!俺の若いころそっくりじゃねえか!」

自分の聞いたあのセリフを、別のミュージシャンにも言っているのが、ドア越しに聞こえてきた。


なんだ、誰にでも言っているんだ。


この事件は、清志郎やジェームスの好きな人たちの間では有名な話だが、その続きを知る人は、はたして居るのだろうか。

二日目、ジェームスと会った清志郎は、ジェームスからどんな話を聞いたのか。むしろ、そちらのほうが気になるし面白そうだ。

「ぶっちゃけお前なんか知らねえよ。営業だよ営業」とか、

「お前、いいねえ。どうでも」とか言われていたりして。

いや、少なくともジェームスはファンキーだから、否定的な表現は使わなかっただろうな。

清志郎がジェームスと交わした会話を知っている人がいたら、教えてほしいな。

今や、どちらからも当時の話を聞けないのだから。