安産を祈願した不洗観音に、一家総出で無事長男誕生のお礼参りをしたよ。
瀬戸内の盆は強い日差しで、えらく暑く、おまけに海沿い特有の湿気もひどかった。
だいの大人ですらしんどかったのに、生まれてたった2ヶ月の息子には、ずいぶんこたえたかも知れん。
それでも耐えて、境内を抜けるまでの間、狭いベビーカーの中で泣かずにお利口さんにしとった。
ところが、本堂にあがり、読経の始まるころから、ぎゃあぎゃあ泣きはじめやがった。
ベビーカーを降ろされて気がゆるんだんじゃろうな、きっとおなかが空いたんじゃ。妻は抱いた息子がなんとかしずまってくれんもんかと、ゆさぶったり顔を近付けたりしたが、息子はまったく聞きつけてくれんかった。
まあ、ええじゃないか、腹が減っては仕方ない。そこまでを人生経験2ヶ月の野郎に期待しちゃあいかん。
それより、暑いなか連れ回されて、文句のひとつも言わんかったことを褒めてやろう。
読経のあと本堂を出て、クーラーも扇風機もない東屋にて、息子はようやくミルクにありついた。
汗を流しながら、暑さなど関係ないとばかりの勢いで、ミルクを飲んだ。
ものすごい勢いで飲んだ。
飲み干したあとの息子は上機嫌で、何につけよく反応し、よく笑ったよ。