地図も無しに走り出す。何処に着くのかも分からず走り出す。
山の方、それとも海の方。
青空を半分に分けて真っ白な道が続く。
エンジンの音が溶けるさ、流れるさ、いつの間にか無音になる。
走っているときが無音なのだから、止まればなおさら無音だろう、と思いきや、止まったら止まったで聴覚が鋭敏になり、普段なかなか聞こえてこない音の存在を知る。
雲の流れる音さえ聞こえてくる様だ。
遠くで風の流れる音がして、タイムラグでこちらにやってくる。
うぶな男の子じゃないが、本気で思うんだ、風が見えるってな。
それが俺のツーリング。