
何事も前触れ無しということは無い。
例えば、梅雨が明ける前触れ。
西風が吹いて、雲が流れる。流された雲は梅雨空には現したことのない不可思議な形状を蒼天に曝す。大気は一定ではなく、太陽光は不規則なプリズムを透過し、美しい青や赤や黄の、紫の夕景を演出する。
この数日、そんな夕刻が続いている様。
非凡な夕景に、その度仕事の手を止め、携帯カメラを起動させた。
この夕刻の色を、だれかに知らせたくてメールに添付するが、送り先を入れぬまま消去した。
カメラでは伝えきれないところを、ほんとうは伝えたいのだ。
梅雨が明ける。
夏が来る。
年に一度の、貴重な時間がやってくる。
不可思議な夕景は、祭の始まりを告げているのだ。
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