朔よ、俺はどうしたら良いのだろう。
自分が何者なのかも解っていない男に、君の父を名乗るだけの資質があるのだろうか・・・俺はいつも自問するんだ。でも、時間ばかり流れて、俺は今いる場所から動けない。
朔よ、このままじゃ俺は、君を前にして、偉そうに道を説くなど絶対に出来ない。
だから少なくとも、君の前では勉強する父でありたい。
少しでも今いる場所から動けるよう、父はがむしゃらに学び、手数足数極限まで動かして、もがいてみるよ。
父は今年44歳だ。
君が生まれて以来、ああ俺は44年間、何をしてきたのだろう、と強く想うようになった。
君が社会に出るころ、俺は60代も半ばになっちまう。
その頃までに、君に偉そうなことのひとつでも言えるようになりたいよ。
朔よ、今なら父を抜くのは簡単だ。
だが朔よ、父は抜かれないぞ、抜かれるものか。
君が自分の旅をはじめるころ、俺は遥か先の荒野にテントを張り、次の行程を思案しているさ。
そうでなければおかしいんだ。
君が生まれて、ようやく俺にもライバルが出来たような気がする。
生まれてくれて、ありがとう。
父は負けないぜ。
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