いろんな場面でつくづく思うのは、女性は花だということだ。もっとも花らしい花だ。
男性だって花といえば花だが、それは「松の花」や「杉の花」みたいな、ちょっと渋い感じのする、言い方を変えれば「片手落ちな」感覚のものだ。
でも女性は、その存在の全てが、世界を彩る色彩であり、官能であり、香りであり、蜜の甘さであり、誘惑であり、結実する完璧な花卉である。
男性社会は花を蹂躙する。大地から摘み取り、花瓶にいけて床の間を飾ったり、髪を飾ったり、往く人を送ったり、またあるいは占い代わりに花弁を解体する。蹂躙に快感を感じるのかも知れない。
女性社会は花を生かす。花壇を作り、施肥し、群生を育て、果実を収穫する。
花というと俺は、お互いの花卉を観察しあう男女の夜を想う。見ることが最終目的と錯覚させる、妖しい月夜を想う。その月夜を経験したから、女性を「花らしい花」と想うのかも知れない。
花を観賞するのは、官能なのだ。





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