昼どき、回転寿司屋で、高校生時代の恩師とばったり出会った。
昔、俺が飲食店をやっていたときに来店してくれて、それ以来だから随分久しぶりの再会だった。
ブログに先生との思い出を書いたりしてるんですよ、と言ったら、お前の名前で検索できる?と尋ねられた。
「出来ますよ。西村英明で検索したら、たぶん3番目か4番目くらいに出てきますよ」
よしじゃあ、コメント付けてやる、なんて言っていた。
先生、老けたなあ。
初めて出会ったころの先生は、学校を出たてで、突っ張っていて、びっくりするほどアナーキーだったけど「あと8年で定年や」と、さびしいことを洩らす彼の姿は、普通のおじさんだった。
当時俺らの担任だった先生の消息を尋ねたら、随分前に亡くなったという。
じじい、もう居ないんだな。
自分の歳を考えれば、高校生時代に70代の先生が、ひょっとしたら在命しないだろうことなど予想していたはずなのに、改めて「死んだ」と聞かされると、ショックだった。
子供のころの数年間、シーモンキーを飼っていた。彼らとの付き合いの中、彼らの世代交代を、何世代にも渡って見てきた。死んだ祖先たちの遺骸は、水槽の底に堆積し、子孫どもの食料になった。
みんな歳をとって、いずれどこだか分からない深いところに堆積する。
いつか俺も先生も堆積して、子孫どもの肥やしになるのだろう。 畜生め。
「お前、まだ店やってるんか?」
「やめました。今は不動産会社に奉公してます」
「随分変わったな」
あの頃の貴方と俺が、いつまでもいつまでも同じように続いたなら、そんなに素敵なことはありません。出来ればそうしたいけど、ひっきょう我々は蛇みたいなもので、何度も皮を脱ぎ捨て、べつの生き物に変化していくのでしょう。
チエちゃんは大きくなりましたか? たぶんもう立派な大人の女性ですね?