連日の豪雨から脱した感があるのは、盛夏の頃から比べ、太陽の軌道が南に傾いたからだろう。陽の力は落ち、もはや大地は熱を保たず、上昇気流も穏やかだ。
夏の終焉は、過去の彼方の、とっくに終ってしまった縁を想わせ、一瞬の呼吸困難を誘発する。
体によくないぜ、と一人ごちて、それでもなお感傷という麻薬に溺れるのは、それが快感だからに決まっているのだ。
今さら、あの人に会いたいとか、あの時の続きを、なんて思わないが、思い出の数々を、ふとした弾みにむさぼるのは、9月の西陽、夏の終わりのサウダージ。
俺はどうやって更正すればいいのか、毎年この時期になると悩ましい。