風呂上がりにベランダで酒を飲んでいると、つがいのコウモリが目の前に飛来する。目の前ギリギリのところで羽音をたてる。それはきっと、酒を飲んだ俺の体から炭酸ガスが大量に放出され、それを嗅ぎ当てた近隣のやぶに潜む蚊たちが俺の血をめあてに集まるからだろう。
すなわち、コウモリにとっての福の神は、酒と共に現れる。
今夜の酒はボンベイサファイアの炭酸水割りなので、炭酸ガス濃度がいつもに増して濃い筈だ。だから、結果としていつもよりも多くの蚊を呼び寄せ、いつもよりもコウモリを喜ばせる事になる。
ワニに鳥、珊瑚礁にカニ、俺にコウモリ。そこにナイスな共存を見出だすとき、共生する対象にシンパシーを感じる。
いかに共生相手を見出だせるか、共生相手の連鎖を見出だせるかが幸せに繋がる鍵の様な気がするが、きっとコウモリは俺のことなんか知りはしない。でも、コウモリの巣穴で親を待っている子コウモリが潤沢な母乳にありつけるのは、元をただせば俺がベランダで酒を飲むからである。そう思えばこそ、俺の飲酒もプレミアムと当てつけがましく思うけど、実際そうとは思わないかね、皆の衆。