今日はとてもいい天気で、しかも時間は午後1時だった。富士山の見える郊外の一本道を、俺の営業車は快適に進行していた。

そんな中、警察の「止まれ」と書いてある旗に停められた。

あれ、俺スピードか何か引っかかったかな、そう思って誘導されるまま細い路地に入り、窓を開けて「何かしましたか?」と警察官に尋ねた。

「運転手さん、今携帯使ってたでしょ」

使ってないよ。そもそも車に乗る際には必ずハンズフリーのマイクを着けている俺が、直接耳にあてて電話なんかするもんか。捕まっちゃうでしょ?

もっとよくよく考えてみればこの1時間、電話など掛けていないし掛かっていない。

「電話してませんよ」

「いや、ここからちょっと離れた場所で、他の警察官が見ていたんですよ。彼が証人です」

そこまで言うなら、着信履歴や発信履歴を見てもらおうじゃないか、って事で、車の傍について離れない警察官に電話の履歴を見せてやった。

「・・・あれ?」

あれ?じゃないよ、だから電話してないってば。

「・・・ああ・・ぅぅぅ・・・あ、あの、我々は時おり、注意喚起とでも言いましょうか、宣伝の目的でお停めすることもあるんですよハハハ」

うそつけ。

うそつきは泥棒の始まりだぞ?

あんたンとこの「証人」は、毎日目の検査をしてるのか?ちゃんと動体視力1.5以上見えているのか?

夕方や夜ならいざ知らず、昼日中の明るい時間帯に、何をどう見たらそう見えるのか。

電話していない人間を「電話していた」と捕まえて、そのよく見えていない目で取り締まっていても証拠として有効なのか?

それは法的に問題だぞ?

まず謝れよ、なんで言い訳が先にくるんだよ、そう思っていたら言い訳だけで終わってしまった。







ちょっとむかついたから意見してやろうと思ったけど、粗品もくれないのに無駄な時間を過ごしても仕方ないので何も言わずに車を出した。

それでもあまりにむかついたので、運転しながら歌を歌って気持ちを誤魔化した。

誤魔化すために唄った歌の数々



 銭形平次の歌

 マミーブルー

 ミニモ二テレフォン(フランク永井の声で)

 ヒッピーに捧ぐ

 タイマーズのテーマ

 ドラえもんの歌(広東語版)

 アイガッタマイマインドセットオンユー

 じんじろげの唄

 カレーパンの唄

 

そして、なつかしの世界のナベアツの「3の倍数と3のつく数字の時だけアホになる」をやって笑って、ようやく平常心を取り戻したってわけ。









にほんブログ村 小説ブログ 純文学小説へ


にほんブログ村