街中の夜空には星が多くない。湿り気を帯びた地表には、マンションの放つ常夜灯の光が乱反射し、ぼんやりと仄明るい空気の層を作る。
俺は風呂上がりにビールを飲みながら、日常に出会うエブリデイピープルのことを考えていた。
日常付き合いのある大抵の人々。彼らの表層からは大したものは伝わらない。
つついても、彼らの穴からはお茶菓子程度のものしか出てこないのだ。彼らには特筆するニュースが無いのである。
確かなことは、俺の身体の一部は、彼らが作っている。つまり、日常に染まる、とはそういう事を指すのだ。
彼らの歴史の中に、どんな事件が息づいているのか解らないが、それらの事件が彼らをして俺に少なからず影響を与え、今の俺が居る。まるで微量の放射能漏れの様に、彼らはじわじわと影響する。
子供の頃はエブリデイピープルが好きじゃなかった。「つまらない人々だ」と一瞥して軽くあしらっていた。彼らは受け入れがたいイメージを放っていた。俺の目指す世界から遠く離れた存在だった。
それが、なんだか心地良く感じてしまう様になったのは、いつの間にかそれに慣れてしまったから、とかそういう訳ではなく、それがとても素敵な事なのだと気付いたからだろう。
と言うのは、そもそも俺が「高級だ」と思っていた人々ほど、実はそれほど高級ではなかったからかも知れない。
受け入れ難いと感じていた彼らエブリデイピープルは、実は神なのだ。日々俺に道を指し示す異形の神々だ。
彼らの影響でこんな俺に成ったのだから、俺は俺の創造主を神と崇めなければならない。
だから、俺は面倒くさがらず、彼らの声を傾聴する。
ふと見上げればオリオン座しか見えない寂しい星空である。オリオン座の雄々しい姿は俺に道を指し示してくれている。
俺は風呂上がりにビールを飲みながら、日常に出会うエブリデイピープルのことを考えていた。
日常付き合いのある大抵の人々。彼らの表層からは大したものは伝わらない。
つついても、彼らの穴からはお茶菓子程度のものしか出てこないのだ。彼らには特筆するニュースが無いのである。
確かなことは、俺の身体の一部は、彼らが作っている。つまり、日常に染まる、とはそういう事を指すのだ。
彼らの歴史の中に、どんな事件が息づいているのか解らないが、それらの事件が彼らをして俺に少なからず影響を与え、今の俺が居る。まるで微量の放射能漏れの様に、彼らはじわじわと影響する。
子供の頃はエブリデイピープルが好きじゃなかった。「つまらない人々だ」と一瞥して軽くあしらっていた。彼らは受け入れがたいイメージを放っていた。俺の目指す世界から遠く離れた存在だった。
それが、なんだか心地良く感じてしまう様になったのは、いつの間にかそれに慣れてしまったから、とかそういう訳ではなく、それがとても素敵な事なのだと気付いたからだろう。
と言うのは、そもそも俺が「高級だ」と思っていた人々ほど、実はそれほど高級ではなかったからかも知れない。
受け入れ難いと感じていた彼らエブリデイピープルは、実は神なのだ。日々俺に道を指し示す異形の神々だ。
彼らの影響でこんな俺に成ったのだから、俺は俺の創造主を神と崇めなければならない。
だから、俺は面倒くさがらず、彼らの声を傾聴する。
ふと見上げればオリオン座しか見えない寂しい星空である。オリオン座の雄々しい姿は俺に道を指し示してくれている。
青臭いことを考えていると、とてつもなく明るい流星を目撃した。
青臭くてもいいじゃないか、明るい流星は俺をワクワクさせる。そして、実は空は生きている事実を思い知らせる。
空は張り紙の様な薄っぺらい存在じゃなかった。
日々は軽く流れ、出逢う人々はことごとくつまらぬ人々だが、そこには時折、一瞬の輝きが度々見られる。俺はそれを滋養として摂り入れ、俺の穴からたくさんのものをひねり出すのだ。
青臭くてもいいじゃないか、明るい流星は俺をワクワクさせる。そして、実は空は生きている事実を思い知らせる。
空は張り紙の様な薄っぺらい存在じゃなかった。
日々は軽く流れ、出逢う人々はことごとくつまらぬ人々だが、そこには時折、一瞬の輝きが度々見られる。俺はそれを滋養として摂り入れ、俺の穴からたくさんのものをひねり出すのだ。