いつか帰る





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1969年(だと思い込んでいる年)に、俺は蕨という街に住んでいて、同じ年に、やっぱり蕨という街に住んでいた。

それぞれは全てが瓜二つの、遠い世界だった。

人知の及ばない遥かな距離を、同じ景色の、同じ人が住む、宇宙の果ての全く別の街にスリップしたのだ。(地名は若干違うかも知れない)

ここが元居た場所と全く同じ景色に見えるのは、単なる思い込みかも知れない。本当は違う風景の中に住んでいたのに(ひょとしたら山の麓に住んでいたのかも知れないし、海辺の漁師宿の息子だったかも知れない)何かの意思によって情報操作され、記憶を塗り変えられたのかも分からない。

そんな滅茶苦茶な状態のまま年齢を重ねて・・・今に至る。

大人になって思う。俺がこの世界に送り込まれた意味とは何?ってね。(今更思う事じゃないけど)

神様の遊びに付きあわされているのなら、俺の役割分担がどこかにあるはずだ。だから、まず、それを探さなきゃ。

でも、神様は気まぐれだから、大した意味も持たせてくれなかったかも知れない。






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俺はいつか、1969年(だと思い込んでいる年)に帰るだろう。

帰らなくちゃ。(俺のほんとうの家があるところだからね)