第202回国会(臨時会)質問主意書 質問第七号[#58]
被選挙権年齢の引き下げに関する質問主意書
右の質問主意書を国会法第七十四条によって提出する。
令和二年九月十六日 浜田 聡 参議院議長 山東 昭子 殿
被選挙権年齢の引き下げに関する質問主意書
諸外国では、被選挙権年齢の引き下げが盛んに行われている。例えば、
イギリスでは二〇〇六年に、フランスでは二〇一一年に、被選挙権年齢が十八歳に
引き下げられた。これは、若者でも選挙による代表が十分務まる者もいるであろうし、
有権者は選挙を通じて候補者を選別することができるという観点からである。
国立国会図書館のレファレンス平成二十七年十二月号「諸外国の選挙権年齢及び被選挙権年齢」によれば、下院の、被選挙権年齢が判明した百九十四か国のうち、
十八歳が五十四か国(二七・八%)、二十一歳が六十か国(三〇・九%)、であり、
二十五歳以上の国は少数派となっている。
一 若者への政治参加を促している昨今、被選挙権の年齢制限により、
二十五歳未満(一部選挙では三十歳未満)の若手政治家が選挙に立候補すらできず、
若者の声が、民主主義の代表的な形である選挙において届けることすらできないのは、
令和の時代に沿っていないと考えるが政府の見解如何。
一について
お尋ねの「立候補の届出」の受理については、最高裁判所の判例によれば、
「公職選挙法の規定によれば、選挙長は、立候補届出および推せん届出の受理に当つては、
届出の文書につき形式的な審査をしなければならないが、候補者となる者が被選挙権を
有するか否か等実質的な審査をする権限を有せず、被選挙権の有無は、開票に際し、開票会、
選挙会において、立会人の意見を聴いて決定すべき事柄であると解するを相当とする。」と
されている(昭和三十六年七月二十日最高裁判所判決)と承知しており、形式的審査により、
立候補の届出書の生年月日の記載から、明らかに選挙の期日において被選挙権を有しないことを知り得る場合は受理すべきでないものである。
御指摘の「被選挙権年齢」については、公職選挙法(昭和二十五年法律第百号。以下「法」
という。)第十条第二項の規定により、選挙の期日により算定することとされていることから、選挙の期日(法第八十六条の四第七項の規定により選挙の期日が延期された場合にあっては、
当該延期された期日)に、被選挙権年齢に達する者の立候補の届出は受理すべきであるが、
被選挙権年齢に達しない者の立候補の届出は受理すべきでない。
二 諸外国が被選挙権年齢を引き下げているのに、日本が被選挙権年齢を引き下げないことは、
日本政府が、日本の若者に対して、「諸外国の若者に比べて未熟であるから、
被選挙権を与えないことは相当である」との逆差別をしていることになる。
政府は、日本の若者は諸外国の若者と比べて未熟であると思っているのか。
二について
お尋ねの「被選挙権と公職の候補者になる権利(立候補の届出を却下されない権利)
の違い」の意味するところが必ずしも明らかではないが、被選挙権については、法第十条、
第十一条及び第十一条の二並びに政治資金規正法(昭和二十三年法律第百九十四号)
第二十八条において規定されており、公職の候補者となることができない者については、
法第八十六条の八、第八十七条、第八十七条の二、第八十八条、第八十九条、
第二百五十一条の二及び第二百五十一条の三において規定されている。