トランプ・ネタニヤフの「20項目」提案を批判する | リブ・イン・ピース☆9+25

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「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」

米とイスラエルは植民地主義的な「降伏」の強要をやめろ

 9月29日にトランプ米大統領は、ガザでの戦争終結に関する20項目の提案を行った(下掲)。イスラエルはネタニヤフ首相がこれを早々と受け入れた。
 メディアはこの20項目提案を「和平提案」だと大いに持ち上げ、ハマスは受け入れるべき、これは「最後通牒だ」と報じた。メディアはおしなべてハマスと抵抗勢力を悪者扱いし、戦争犯罪人ネタニヤフがトップに立って、パレスチナ市民を虐殺し続けているイスラエルを良い国であるかのように描いている。
 しかし、この提案はトランプとネヤニヤフが協力して政治的大逆転を狙った方策だ。カタール攻撃でアラブ諸国はイスラエルを拒否した。国連ではイスラエルの蛮行が批判され、パレスチナ国承認をする国が増えた。欧州では武器輸出や輸出のボイコットからスポーツや藝術のボイコットまでイスラエル非難の運動は大規模に広がった。イスラエルと米国の孤立がかつてなく深刻になり、ネタニヤフはスペインやフランス上空を飛ぶことさえできなくなった。それが手のひらを返すように一夜で逆転した。あきれるほかない。欧州諸政府もアラブ諸国も、そして日本もイスラエル非難を取り下げ、トランプの提案を支持し賞賛した。そしてハマスらに受け入れろと迫っている。欧米各国で行動をしている人民大衆の連帯運動だけが、イスラエルのジェノサイドを批判し続けている。
 20項目提案の中身は下にあげたように、イスラエルに一方的に有利で、ハマスらを悪者としてあつかい、降伏を押しつけるものだ。どさくさ紛れにトランプやブレアが復興利権のおこぼれを我が物にしようと欲にまみれて群がっている。
 ガザ戦争の根本原因はハマスらの「テロ」などではない。イスラエルによる78年に及ぶガザとパレスチナの占領と植民地支配にある。だから、イスラエルによる攻撃の終了、イスラエル軍のガザからの撤退、食料と生活物資提供と復興、パレスチナの民族自決権とパレスチナ国家の承認が最低限必要不可欠だ。しかし、20項目のどこにもそんなものはない。当初の21項目提案にああったイスラエル軍のガザからの撤退さえイスラエルの要求に従って曖昧にされ、撤退を義務つけていない。イスラエル軍は合意の下で、戦争さえ続行できる内容になっている。イスラエルによる占領の続行もあり得る内容だ。
 他方で、ハマスと抵抗勢力には降伏と武装解除、そして「戦後」統治からの排除だ。ガザの人々を代表した、選挙で合法的に選ばれた唯一の勢力がなぜ排除されるのか。代わりにテクノクラートと資格あるパレスチナ人で構成されるパレスチナ委員会。それは誰の利害を代表するのか。警察権力はアラブ諸国の指導下だ。そして復興利権はトランプが懐に入れる構造だ。ガザの人々の意見と権利は全く保障されない。驚いたことに20項目はパレスチナ人の民族自決権さえ認めず、民族国家承認は一言も触れられていない。
 この全く一方的な内容が「和平提案」として、ハマスら抵抗勢力とガザの人々に突きつけられている。われわれはこの傲慢な帝国主義的、植民地主義的要求を厳しく批判する。
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  トランプ大統領のガザ戦争終結20項目計画の全文    

       Middle East Eye 29 sep 2025 機械翻訳
      https://www.middleeasteye.net/news/full-text-trumps-20-point-plan-end-war-gaza-0

 ドナルド・トランプ米大統領は月曜日、ガザにおけるイスラエルの大量虐殺を終わらせるための2ポイント計画を明らかにした。ホワイトハウスは、トランプ大統領がイスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相と記者会見を開く直前に、計画の全文を発表した。

ミドル・イースト・アイは計画の全文を公開した。

1. ガザは、近隣諸国に脅威を与えない、非過激化したテロのない地帯となるだろう。
※パレスチナ人に民族自決を認めず、イスラエルの植民地主義的支配を認める限り、ガザがテロのない地帯にはならないだろう。何よりも根本原因を除くことが第1だ。

2. ガザは、十分すぎるほどの苦しみを味わったガザの人々の利益のために再開発されるだろう。

3. この提案に双方が同意すれば、戦争は直ちに終わる。イスラエル軍は人質解放に備えるために合意されたラインまで撤退するだろう。この間、航空爆撃や砲撃を含むすべての軍事作戦は中断され、段階的撤退の条件が満たされるまで戦線は凍結されたままになる。
※イスラエル軍は撤退するのか? この文面はしないことを保証する。戦線は凍結されたままで、イスラエル軍は理由をつけて居座り続ける。

4. イスラエルがこの協定を公に受け入れてから72時間以内に、生きている人も死亡した人も、すべての人質は返還される。

5. すべての人質が解放されれば、イスラエルは250人の終身刑囚人と、2023年10月7日以降に拘束された1,700人のガザ人を釈放する。イスラエル人質の遺体が解放されるたびに、イスラエルは死亡したガザ人15人の遺骨を解放する。

6. すべての人質が返還されれば、平和的共存と武器の廃止を約束するハマスメンバーには恩赦が与えられます。ガザからの出国を希望するハマスのメンバーには、受け入れ国への安全な通路が提供される。
※ハマスと武装勢力は犯罪人でもなければ恩赦の対象でもない。イスラエルが撤兵し、国境封鎖をやめて植民地支配をやめ、パレスチナの自決権を認めれば、ハマスらは武装闘争をやめるといっている。それが唯一の共存の道だ。

7. この協定が受諾されると、全額援助が直ちにガザ地区に送られる。少なくとも、援助の量は、インフラ(水、電気、下水)の修復、病院やパン屋の修復、瓦礫の除去や道路の開放に必要な設備の立ち入りなど、人道支援に関する2025年1月19日の合意に含まれるものと一致する。

8 ガザ地区への配布及び援助の入国は、国連及びその機関及び赤新月社及びいかなる当事者ともいかなる関係もない他の国際機関を通じて、両当事者の干渉を受けることなく進められる。ラファ検問所の両方向の開放は、2025年1月19日の合意に基づいて実施されたのと同じメカニズムの対象となります。

9. ガザは、ガザの人々のために公共サービスと地方自治体の日常的な運営を提供する責任を負う、テクノクラート的で非政治的なパレスチナ委員会の一時的な暫定統治の下で統治される。この委員会は、資格のあるパレスチナ人と国際専門家で構成され、ドナルド・J・トランプ大統領が率い、議長を務める新しい国際暫定機関「平和委員会」による監督と監督を受け、トニー・ブレア元首相を含む他のメンバーや国家元首は発表される予定である。この機関は、2020年のトランプ大統領の和平計画やサウジ・フランスの提案など、パレスチナ自治政府が改革プログラムを完了し、ガザの支配権を安全かつ効果的に取り戻すことができるまで、ガザ再開発の枠組みを設定し、資金を処理します。この機関は、ガザの人々に役立ち、投資誘致に役立つ現代的で効率的な統治を構築するために、最高の国際基準を求めます。
※ガザは資格あるパレスチナ人と国際専門家によるテクノクラート的で非政治的なパレスチナ委員会が一時的に暫定統治する。(その後)パレスチナ自治政府が改革プログラムを完了しガザの支配圏を取り戻すまでは(いつまでも)、厚かましい欲望まみれのトランプとブレアらが取りしきる「平和委員会!!」がガザの再開発と復興を取り仕切る。ガザの復興利権を狙った欲望をむき出しにしているトランプ提案だ。

10. ガザを再建し、活性化するためのトランプの経済開発計画は、中東で繁栄している近代的な奇跡の都市のいくつかを生み出すのに貢献した専門家委員会を招集することによって作成されるだろう。多くの思慮深い投資提案とエキサイティングな開発アイデアは、善意の国際グループによって作成されており、将来のガザに雇用、機会、希望を創出するこれらの投資を誘致し、促進するための安全保障とガバナンスの枠組みを統合することが検討されます。
※トランプの「リビエラ計画」はなくなっていない。己の利益のために善意の提案が作り出されている。

11. 経済特区が設立され、優先関税及びアクセス率は参加国と交渉される。

12. 誰もガザを離れることを強制されることはなく、去りたい人は自由に立ち去り、自由に戻ることができます。私たちは人々に滞在を奨励し、より良いガザを構築する機会を提供します。
※離れることは強制されない・・・イスラエルが守る保証は?

13. ハマスと他の派閥は、直接的、間接的、またはいかなる形であれ、ガザの統治においていかなる役割も果たさないことに同意する。トンネルや武器生産施設を含むすべての軍事、テロ、攻撃インフラは破壊され、再建されることはありません。独立した監視者の監督下でガザの非武装化プロセスが行われ、これには合意された廃止措置プロセスを通じて武器を永久に使用不能にすることが含まれ、独立監視者によって検証された国際資金による買い戻しおよび社会復帰プログラムによって支援されます。ニューガザは、繁栄する経済の構築と近隣諸国との平和的共存に全力で取り組むでしょう。
※なぜガザの統治からハマスと他の派閥を排除するのか。ハマスは公式の選挙で選ばれた唯一の存在だ。ガザの人達の統治者から、ガザによって選ばれた人々を排除するなど民族主権を蒸し、冒涜する行為だ。

14. ハマスと各派閥が義務を遵守し、ニューガザが近隣諸国や国民に脅威を与えないことを保証するために、地域パートナーによって保証が提供される。
※地域パートナーって何だ? アラブ諸国か?仲介国エジプトやカタールか? いずれにしても外国勢力がガザを政治的・軍事的に支配する

15 米国は、アラブおよび国際パートナーと協力して、ガザに直ちに配備する一時的な国際安定化部隊(ISF)を開発する。ISFはガザの精査されたパレスチナ警察を訓練し、支援を提供するとともに、この分野で豊富な経験を持つヨルダンやエジプトと協議する予定だ。この部隊は長期的な国内安全保障の解決策となるだろう。ISFはイスラエルとエジプトと協力して国境地域の安全確保を支援するとともに、新たに訓練されたパレスチナ警察部隊も支援する。ガザへの軍需品の侵入を防ぎ、ガザの再建と活性化のためには、物資の迅速かつ安全な流れを促進することが重要です。紛争解消メカニズムは当事者によって合意されます。
※国際安定化部隊ISF。ガザを軍事的に支配するのはISF。パレスチナ人ではない。パレスチナ警察を訓練し、指揮する。イスラエルの軍事支配を、外国人の武装部隊に渡して、ガザの軍事支配をするのはその部隊。軍事力の根本を他国に譲渡するような自決や独立はあり得ない。なぜパレスチナ人自身に任せないのか。

16. イスラエルはガザを占領したり併合したりしない。ISFが支配と安定を確立するにつれて、[イスラエル軍]は、[イスラエル軍]、ISF、保証人、米国の間で合意される非武装化に関連する基準、マイルストーン、および時間枠に基づいて撤退し、イスラエル、エジプト、またはその市民にもはや脅威を与えない安全なガザを目的とします。実際、[イスラエル軍]は、ガザが復活したテロの脅威から適切に安全になるまで、治安境界の駐留を除いて、ガザから完全に撤退するまで暫定当局と交わす合意に従って、占領しているガザ領土をISFに段階的に引き渡すだろう。

17. ハマスがこの提案を遅らせたり拒否したりした場合、拡大された援助作戦を含め、上記は[イスラエル軍]からISFに引き渡されたテロのない地域で進められる。
※部分的先行実施。ハマスが拒否すれば、ハマスの及ばないイスラエル軍からISFに引き渡された地域で潜行実施される。ハマスとガザ住民の分離分割の試みだ

18. 平和から得られる利益を強調することにより、パレスチナ人とイスラエル人の考え方と物語を変えようとするため、寛容と平和的共存の価値観に基づいて宗教間対話プロセスが確立される。

1. ガザの再開発が進み、パレスチナ自治政府の改革プログラムが忠実に実施される一方で、パレスチナ人民の願望として認識しているパレスチナの自決と国家への信頼できる道筋の条件がようやく整うかもしれません。
※「2国家解決」ですらない、オスロ合意より後退している。パレスチナは自決できるかもしれない/できないかもしれない

20.米国は、平和で繁栄した共存のための政治的地平に合意するために、イスラエルとパレスチナ人の間に対話を確立する。