あれ?ドンへ。ん?


『その傷、どーしたんだよ』


やわらかく上がった口角の端が。切れて血がにじんでいた。そっと指先で触れる。あぁ...


『ちょっとな』


その傷をぺろっとなめて。顔をしかめて。めずらしく言葉をにごす。まさか、喧嘩か?ドンへらしくもない。腕っぷしが強いのは知ってるけど。争いごとは、好まないはずなのに...


『それ、俺』


し、シウォン?


『これでも手加減したんだぞ』


どこがだよ。顎、はずれるかと思った。ドンへがわざとらしく。顔をしかめて頬をなでる


『取り柄の顔に傷でも残したら。俺、全女子生徒に恨まれるわ』


たしかに...でも、何で...シウォンだって。喧嘩の仲裁にはすぐはいるけど。よっぽどのことがなければ、ひとを殴ったりなんてしないはずだ。しかもドンヘを...


『ヒョクの耳には入らなかったか...』


ウワサになったんだよ。オレとヒョクがキスしてたって。あ...もしかして...あのとき...でも


『あれは、俺が...』


ちがうよ。キスしてたことを怒ったんじゃない。ドンへが首をふって


《お前がチャラチャラしてんからそんなウワサが立つんだ。ヒョクチェを巻きこむな》


ってさ。わざと。みんなの前で。にやっとわらって。シウォンの胸に拳をあてた。やることがかっこいーよなー


お前もだよ...ドンへ...




《つづく》


※本日のラインナップ