オメガ...?俺、数学、苦手なんだけど...失礼ですが...
『そちらはベータですよね』
その言い方がちょっと引っかかった...あ...オメガって...そのオメガか...俺の足に抱きつくひょっくんを見下ろした
オメガとアルファ。知識としてはある。でもふだんは、それほど気にしないで暮らしている。その紳士がゆーとーり。俺は《ベータ》として生まれて。ベータの中で生きてきたから
こんなちーさな子でも、オメガってわかるのか...ひょっくんのあたまをなでると、俺を見上げてふっと口角をあげる。首を隠すことに固執していたのは、そのせーか...
さっきの言い方からすると...
『あなたは...アルファと言うことですか』
まぁ、そうです。くちびるの端に優越感をにじませる。やな感じ。ってことは...やっぱりこの子を渡すわけには、いかないじゃんないか...?アルファとオメガが出会うとどーなるか...それくらいは知ってる。たぶん、顔に出てたんだろう。ご心配には及びません...
『私は抑制剤を常用してますので...』
そーゆーもんなのか...よくわかんないけど...それで済むなら、オメガを巡るトラブルなんて、なくなるはずだよな...ひょっくんが。俺のズボンをぎゅっとにぎる
『ただ、どこでアルファに遭遇するとも限りません』
全てのアルファが理性的で、抑制剤を服用してるわけではないんです。だから、早く安全な場所に連れて行きたい。それは本音だろう...確かに俺はベータだ。でも。さっき、はじめてひょっくんと触れたときにかんじた、あの電気がはしるよーな感覚がまだこの手にのこる。そこに。何かしらの意味があるんだろーか...だったら...
『俺の部屋で話しませんか?』
ひょっくんにシャワー浴びさせたいんです。風邪でもひいたら困るでしょ。俺の提案に紳士はしばらく黙りこんだ
『わかりました』
そうしましょう
《つづく》
※きのーの最終更新です