『ヒョク!おはよ!』


クラスメートのドンへが。どーした?寝不足?元気ないじゃん。どかっと肩を叩いてくる。あいかわらず、加減しらねーな...


寝不足は寝不足だ...考えれば考えるほどわからない。あいつが何で...あんなことをいーだしたのか...なぁ...ん?


『特待クラスの...チェ・シウォンっているじゃんか』


シウォン?あー...あの、でかい、アメリカナイズしたやつね。大げさに肩をすくめて見せる。シウォンがよくやる仕草だ。転入生なんだけど、海外暮らしが長かったとかで、いちいちオーバーリアクションで


『あいつが、どーかした?』


ヒョク、仲よかったっけ?仲いーってわけじゃないけど...何がきっかけか忘れたけど、挨拶くらいするよーになって...


告られた...


は?だから...告られた。えぇぇぇぇぇぇ!ばかっ!声がでけーよ!あわててドンへの口をふさぐ。む、むぐぅ...ぽかぽかと腕をたたく。いてぇよ、ばか。ばかばかゆーなよー。俺の手をひきはがして


『すげーじゃん!あのモテオトコに!』


お前がゆーか...顔面天才と呼ばれるドンへは、他校の女子にまで人気で。カノジョがころころ変わることでも有名だった


《断るのが面倒になった》


とかで


《誰かいれば、誰も告ってこないしさ》


でも何故か長くはつづかない


《オレ、ヒョクと遊んでるほーがたのしーもん》


そーいって笑う


『そーか。とうとうヒョクにも春が来たか』


感慨深げにうなずくから。お前、ケンカ売ってんの?そーじゃないよ。イヤなこと、思いださせやがって...


はじめてカノジョができた。向こうから告白された。ドンへはすごくよろこんでくれて


《ヒョクと遊べなくなるのは残念だけど、譲ってやらぁ》


だけど、すぐに気づいた。その子の狙いが、ほんとはドンへだったことを


《せっかくだからドンへくんも一緒に》


なんて。いつもゆってて。基本的に断らないとはいえ、ドンへに告る勇気はない。いつもとなりにいる俺のカノジョになれば、ドンヘの近くに自然といられる。大方、そんなこったろう


《お前のせーだ》


泣きながら殴りかかかる俺を抱きとめて。ドンへは俺以上にわんわん泣いた


『で、何て答えたんだ?』


二重の目をきらきらさせて。全身でわくわく感を伝えてくる


『何も...』


何もって?だから...向こうが...


《いますぐ返事をくれってわけじゃないから》


ゆっくり考えてみてくれよ


『って...』


へぇぇ。そーか...誰にも落ちなかったのはそのせーか...そのせいって?ドンへが顔を近づけて、こそっと


『あいつ。ゲイってことだろ』


げ、げ、ゲイ!?だってそーだろ?ヒョクに告ったってことは。お前な...


『あ、先生だ』


ぺろっと舌を出して。ばたばたと自分の席に戻るドンへを見送って。深いため息をついた



《つづく》


※本日のラインナップ