エホバ神は右手に内部にも裏側にも書き込まれた巻き物をもっておられました。それは、七つの封印で堅く封印されていました。(啓示5:1)ひとりのみ使いが「巻き物を開いてその封印を解くのにふさわしい者はだれか」と大声でふれ告げていました。
 

   ヨハネは誰もいないと考えて激しく泣き出しました。(啓示5:2-4)しかし、長老の一人が「ユダ族の者であるライオン、ダビデの根が征服を遂げたので、巻き物とその七つの封印を開くことができる。」とヨハネをなだめました。(啓示5:5)

 

  今回はここの部分の解釈にトライしてみます。

 

(1)内部にも裏側にも書き込まれた巻き物とは?

 

 エホバ神の右手にあった内部にも裏側にも書き込まれた巻き物とは何でしょうか。エゼキエル書の冒頭にも、同じような巻き物が出てきます。その巻き物にかかわる状況は、啓示の書の巻き物にかかわる状況と似ています。


 

scroll

神の右手に七つの封印がされた表にも裏にも書き込まれた巻き物があった



 

 祭司エゼキエルにエホバの言葉が臨みました。(エゼキエル1:3)エゼキエル1章には、天のエホバの王座の周辺の幻が描写されています。(エゼキエル1:26)そしてエゼキエル2章によると、エゼキエルに突き出された手の中に、一つの書の巻き物がありましたが、それは「表も裏も書き込まれて」おり、それには「哀歌と,うめきと,どうこく」が書かれていました。(エゼキエル2:9,10)



 

scroll1
エゼキエルは悲しみと嘆きをもたらす表にも裏にも書き込まれた巻き物を委ねられた

 



 

 エゼキエルはそれを食べるようにと言われます。(エゼキエル2:8)エゼキエルは、その巻き物を食べました。エゼキエルはその当時、腐敗堕落していたイスラエルに対する裁きの音信をイスラエル人に語る責務を課せられました。エゼキエルは「見張りの者」として任命され、当時のイスラエル人に警告する業を委ねられました。(エゼキエル3:17)

 

 その巻き物が表にも裏にも書き込まれていたとは、イスラエルに対するエホバの言葉が詳細に渡り、その内容量が多いことを示しているのではないかと思います。

 

 そして、エホバの委ねられたメッセージをエゼキエルが食べてイスラエル人に告げなければならなかったように、エホバ神が啓示の書の中で告げられている音信をヨハネを初めとしてクリスチャンの奉仕者は、地の人々、とりわけ、神のみ名を担うキリスト教の人々にふれ告げる責務があります。

 

 エゼキエルに伝えられた音信には、「哀歌と,うめきと,どうこく」が含まれていました。(エゼキエル2:10)エゼキエルは、当時の腐敗堕落したユダとエルサレムがバビロンに軍事攻撃を受けて荒廃するという悲しみと嘆きをもたらす音信を伝えなければなりませんでした。


 

babylon

エゼキエルはエルサレムがバビロンによって攻撃を受けて荒廃するという嘆きをもたらす音信を伝えなければならなかった
ヨハネも同様に荒廃という嘆きをもたらす音信を伝えなければならない





 

 同じように、ヨハネを初めとした神の僕に伝えられた音信が同種の音信であるのは理にかなっています。ヨハネに伝えられた音信には、背教したキリスト教の拠点が軍事攻撃を受けるという嘆きと悲しみを生じさせる警告の音信が含まれています。(啓示11:7,8)

 

(2)その巻き物が七つの封印で堅く封印されていたとは?

 

 この巻き物が七つの封印で堅く封印されていたとは、どのようなことを意味するでしょうか。聖書の中には「神の栄光は事を秘しておくこと」であると記されています。(箴言25:2)ですから、神は真理の敵など真理を知る必要のない者たちから、真理を隠すことをされます。

 

  聖書は、聖書の真理を聞いて人によっては迫害を始める種類の人がいることを明らかにしてます。イエスによると犬や豚になぞらえられる人は、神聖な真珠のような真理を聞くと、「それを足で踏みつけ,向き直ってあなた方をかき裂く」と言われました。(マタイ7:6)真理の価値を評価しない人はクリスチャンを「かき裂く」、すなわち迫害します。

 

 ですから、そういう人々から真理を隠している方が賢明です。それゆえに、エホバ神はご自分のみ言葉の音信の意味を資格のない人たちからは、封印されて来られました。

 

 西暦前七世紀にダニエル書、エレミヤ書、エゼキエル書やその他の小預言書が記されましたが、例えば、神からの預言を与えられたダニエル自身が、「わたしは,自分で聞いたが,理解することができなかった。」と正直に述べています。(ダニエル12:8)その当時、啓示を受けた預言者たち自身が、預言の意味が分からなかったのですから、その他の人が理解できたはずがありませんでした。

 

 エホバ神は永遠の神なので、将来起こることを最初からご存知です。(イザヤ46:10)しかし、エホバ神はそれを秘しておられます。エホバ神は、ご自分の啓示を十分信頼できる資格あるご自分の僕である預言者に与えられます。(アモス3:7)

 

(3)神の巻き物はいつまで封印されていたのか

 

 ダニエル書には、ダニエルが啓示されたことについて、「あなたは終わりの時までこれらの言葉を秘し、この書を封印しておくように」と告げられました。(ダニエル12:4)神からの啓示は、ダニエル書などの、預言の意味も関係しています。それで、神からの巻き物の啓示は、終わりの時まで、封印されてきました。それで、一世紀にヨハネが啓示の書を与えられてから、何世紀もの間、その理解は封じられてきました。



 

scroll

神からの啓示は終わりの時まで七つの封印で封印されてきた




 

 幾人かの誠実な聖書研究者が、聖書の預言など、啓示の書を理解しようと努力を払ってきましたが、その理解は不完全なものでした。それは、まだ「終わりの時」になっていなかったので、巻き物がまだ封印されてきたからです。