昨晩の母の様子が気にかかり、
今日は病室に泊まろう。
そう決めて着替えを持ち、
いつもより少し大きな荷物で
会社に向かいました。




もうすぐ会社に着くというその時、
携帯に姉から着信が入りました。



「るー!
 ママが……ママが……」


涙で言葉にならない姉。



「なに?!すぐ病院行くから。」







直後に父からも連絡がありました。









人の流れを一人逆走して駅へと向かい、
電車に飛び乗ります。





涙が止まりません。






まだ着かない。
まだ着かない。
こんなに遠かったっけか。






上司に出勤できない旨を連絡しましたが、
手が震えてしまい
メールもなかなか思う通りに打てません。





最寄り駅に着いてからは
いつもはバスで向かう病院ですが、
迷うことなくタクシーに乗ります。

それでも病院に着く手前の
信号待ち渋滞がもどかしく、
「ここで降ります!」
と途中から走りました。




病院に着き、いつも通りの面会受付用紙を
記入しようとすると、
「〇〇さんですか?
 記入不要ですので、どうぞ!」
と促されて病室に向かいました。








母の個室には
お医者様と看護師さんと父と叔母。
そして呼吸器をつけた母の姿。












母はもう既に話ができる状態では
ありませんでした。












母の右手を握りましたが、
何と話しかけたらいいのか分かりません。
ただただ涙が頬を伝っていきます。




少し遅れて姉が到着し、
さらに少し遅れて義兄も到着しました。











しばらくすると、
呼吸器を外すともう
自発呼吸はできなくなります
ということを告げられました。

















呼吸器を外した母に



父は最後のキスをして、



姉は「ママ〜」と泣き叫び、



私はようやく

「ありがとう。
 今までよく頑張ったね。
 ずっとずっと大好きよ。」

と声をかけ、



その時を迎えました。



ぎゅっと手を握り返してくれた気がするので
みんなの思いは母に届いていると思います。