虫喰いスーツを
補修した。

自家製本や表具のために
購入してある澱粉糊を
ガス火で練って、漉して・・・と、
まずはその作業から始まる。





パンツ(ズボン)の
裾の折り返しから
縫い合わせ部分の端切れを
数センチ裁断して孔に合わせ、
糊で裏地にコテを使って貼り付ける。

あとは一晩
乾くのを待って、
はみ出た繊維を湾曲ハサミで
整形して、丁寧にブラッシングする。

プロの「かけはぎ」は
繊維の方向まで揃えて
繊維どうしを絡ませる所までやるが、
そこまでは出来ないので、
あえてこの表具方式の
簡易補修を施している。

要は虫食い孔が
見えなくなればいいのだ。

こうして
文字どおり「手入れ」した服は、
継ぎ当て物ながら
かえって愛着がわき、
よく袖を通すようになるものである。

この修繕をプロに頼むと
万単位で取られる。





アカデミー賞受賞の
有名作品だとは知っていたが、
見たことがなかったので、
録画でじっくりと鑑賞してみた。

なるほど。
これは名作である。

二期の幼い頃と
リアル・タイムが
交互にABACADA・・・と、
ロンド形式で構成され
いささか煩瑣ではあるが、
「兄弟愛」「男女愛」を
見事に描いている。

前半のスラム街での
掃き溜め、泥溜め、肥溜めの
汚穢なシーンは
目を覆いたくなるものだったが、
その中に咲いた花のような
「情愛」だからこそ
美しさが際立ってもいた。

場面はインドのムンバイだが、
2008年のイギリス映画だから、
生粋のインド映画、マサラ映画のように
コテコテのカレー臭、スパイス臭は
なかった(笑)。

かつて、
一度それを体験しようと
フォーラム会員だった頃に
インド・ムービー週間で
「マハラジャ物」を見て、
そのミュージカル的騒々しさ、
極彩色コテコテ、名画パクリまくりの
アクの強さに当てられたことがあった。

さながら、
マトン臭のする
ゴテゴテ・カレーを
腹いっぱい喰わされた感じ?(笑)





リサイタルまで
もう1ケ月とちょっとだが、
フラメンコ・デュオのうち
二曲はほぼ仕上がりに近いが、
残す一曲は、フラメンコ本来の
口伝では能率よく進まないので、
相方が音楽教師なのをいいことに
楽譜に起こして編曲している。

ただ、この方式だと、
フラメンコ独自の
インプロヴィゼーション(即興性)が
損なわれ、どこかクラシカルな
スパニッシュ物に成り下がるのではと
危惧される。

天才パコをもってしても、
きっちり譜面に書かれたような
アンサンブル曲には
形式的に過ぎて
面白味に欠けるものがある。

譜面だと、どうしても
ヴィジュアルな構成に引きづられ、
和声や進行を美しくあろうという
意識が働くようだ。

なので、あえて、
ジプシー風の“気まぐれ”を
偶発的な音型やズレ、
不協和音などにして
2ndパートに挿入してみた。