社会人偏②
父が入院をした病院から試合会場に着きました。
私は集合時間に遅れてしまっていたので、
ベンチからのスタートでした。
この日は大雨が降っていて、
ピッチはぬかるみ、コンディションは最悪でした。
父のことが頭から離れないままでしたが、
何とか試合に集中しようと気持ちを切り替えました。
試合が終わったらすぐに病院に向かう予定でした。
試合は前半から相手チームを圧倒していたので、
楽にゲーム運びをしていました。
後半に入って7-0と大きくリードしていました。
「今日は出番がないかもしれないな」
と思っていました。
そんなとき、監督から名前を呼ばれ、
途中出場することになりました。
これが、まさかの悲劇の始まりでした。
点差がかなり開いていたので、
相手チームは苛立ちを隠せない様子でした。
相手チームのクリアボールを拾った私は、
仲間にパスを出そうとしたときに
相手選手が足裏で私の右足を思い切り蹴ってきました。
私はその瞬間大声で叫びました…
「折れた!」
激痛で倒れ込んで動けませんでした。
後から仲間に聞いた話では、私の足は明らかに
“違う方向”を向いていたそうです。
人間の本能なのか、
蹴られた瞬間に骨が折れたと確信しました。
試合は中断し、救急車を呼ばれました。
痛みで意識が遠のきそうになる中、
父のことが頭をよぎりました。
「父も今日、手術を受けて入院している。母が一人で大変になる…」
救急車が到着をして、救急隊の方にこう伝えました。
「父が今日、緊急搬送されて手術をしているので、その病院に運んでほしい」と。
はじめは断られたのですが、
「どうしても同じ病院に連れて行ってもらわないと困る」
ことを何度も伝え、病院に連絡をしてもらって、
受け入れてもらいました。
ただ、その病院には整形外科がなく、
応急的に入院するだけになりました。
病院に到着するとなんと、父と同じ病室に運ばれました。
手術後、眠っている父の姿を見て、
胸が締め付けられました。
「試合に行かなければよかった」
「父を見ていなかった罰が当たったんだ」
そんな後悔が頭を巡り、涙が止まりませんでした。
母が慌てた様子で病室に入ってきて、
私の怪我を心配してくれました。
父が病気になって、自分も怪我をしてしまい、
申し訳ない気持ちでいっぱいでした。
「母は気にしなくていい。早く治しなさい」
と私を気遣ってくれました。
足の痛さよりも、心の方が痛かったです。
そして母が家に帰ることになり、
病室の窓から母を見送っていました。
私に笑顔で手を振っていました。
私に心配をかけないように
気丈に振舞ってくれていたのだと思います。
その姿を見て、母に迷惑をかけてしまっていることに
自分が情けなくて、一晩中泣いていました。
翌日、かかりつけのスポーツ専門の病院へ救急車で、
搬送されることになりました。
そこからまた“地獄の日々”が始まるのでした。
社会人偏③につづく
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