芝居『組曲虐殺』 映写機が原風景をカタカタと | 檜木田正史のブログ(ツイッターより)

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ツイッターを2012年6月21日に始めました。
@hinokida_m

仕事のこと、新作のこと、講師をしている専門学校のこと、趣味のミュージカル・講談・マーダーミステリーのことなどのツイートを、ここに格納していきます(多少、加筆修正)

■井上ひさし『組曲虐殺』。
公演が観られなかったので、前に録画した初演の劇場中継を見ました。
井上芳雄の、強くてまっすぐな眼差し。小林多喜二を、全身全霊で演じてました。


自分のためではなく、社会を良くしたいという崇高な目的。
それを文の力で達成できると本気で信じ、一心不乱に原稿用紙に向かう多喜二の姿。
貫くには、不屈の意志が要る。
安穏とした暮らしは望むべくもない。
身を削り、命さえも投げうつ覚悟が要る。

そしてそれは、理解し、受け入れ、献身的に支えてくれる人たちがあってこそ。


■胸の中で映写機がカタカタ回り、その人にとって懐かしくて大切な光景が映る。というナンバーがあって、秀逸なんですよね。
登場人物1人1人が、自身のそれを振り返るんですけど、「ああ、この人はその原風景があるから、今こういう生き方してるんだろうな」と窺えるんです。

「カタカタ回る映写機」という比喩が、うますぎて。
井上ひさしさんが、いかに映画を愛していらっしゃったかが分かります。


でももうじき、「カタカタ回る映写機」は死語になるんですね。寂しいです。


■それとは別に、京都南座での山田洋次上映会のドキュメンタリーも見たんですが、
山田監督が、おそらくフィルム上映会は最後だろうと覚悟なさって、
「映写機のカタカタいう音を楽しみながら、寅さんを御覧ください」というアナウンスをするよう劇場に依頼なさってました。


■胸内でカタカタ回る映写機が映しだす原風景。みなさんは何なのでしょう?