母親は必ずしも仕合せな結婚生活を営んでいたとは
言い難かった。

ボーイがチビの頃から、或る事を巡って父母のケンカが
絶えなかった。


少年のか細い心は、かれらの怒号に
布団
の中で震えていた。


何度母親が父親から面罵されるのを防ごうと思ったこと
だろう。


 
かあちゃん



母を守りたかったが、何もできなかった。

ただ
子供
部屋でじっとしているしかなかった。

母が外に飛び出したこともあった。

助けてください、と。


父親の暴力で骨を折られたこともあった。

治す為に隣の駅の骨接屋まで長い間通った。


どんなにつらかったろうか


チビ心に誓った。


俺は絶対に(将来の)奥さんに暴力は振るわないぞっ、て。



(続く)