ハナシはやや旧聞に属する。

吉村昭の「歴史小説集成」全八巻が春より岩波から出されている。
それを記念して、「図書」5月号で「吉村昭歴史小説の魅力」と題して
三名の対談がなされている。

大村彦次郎は対談中こんなことを言っている。


司馬の代表作「竜馬がゆく」で、坂本は司馬によって大きく拡大されて
一つの理想的男性像、ヒーローになっていった。

それに対し、吉村は竜馬をあまり認めていなかった。
西郷、木戸、大久保のように歴史を大きく動かすさまざまな政治家や
策略家がいたなかで、竜馬は薩長同盟の一プロデューサーほどだ。
ここに司馬史観と吉村史観の違いの面白さがある。


大村の指摘は面白い。
おいらは、上の事は主観と客観と言い換えてもよいかとおもう。


司馬の小説で面白いのは、初期の「梟の城」などの中短編だけだ。
大江健三郎と同じで、後になるほどつまらなくなる。
ブンヤさん上がりだから、文章は細切れで平明、大衆にも分かり易い。
対談にもあるが、司馬は還暦過ぎてから、活動を主にヱセイに
移していった。あの朝日大新聞中心に。
産経の出身にも拘らずむっダウン。。


つづく。。