ああ このあまりに固い肉体が融けて
流れて 露となってしまえばいい!
この世の営みのすべてがなんと物憂く
陳腐 平板 無価値なものに思えることか。
Hamlet, Act Ⅰ、Sc.2.安西徹雄訳)

香港でスターフェリー、二階建のチンチン電車に乗るのは最大の愉しみだ。
これなかりせば、ボーイにとり香港はつまらんことこの上ない。
様ざまな想い出が去来する。

さて、セントラルでその二階建トラムを降り船着場に行かむと、通りを渡るとプリンスビル、
アレキサンドリアハウス(だったか?)があり、もひとつ通りを超えるとすぐ前に否が応でも
あの超高級なマンダリンホテル(文華)が目に入る。


三十年前でも三万円ほどした。いまじゃあどれくらいなんだろう。
ボーイはそばを通るだけで一度も中に入ったことはない。
くすんだビルだが一階(GF)はブランド屋さんが軒を並べる。

03年4月1日に、このマンダリンホテルからレスリー・チャン(張國榮)は飛び降りてしまった。
生真面目で繊細、ナイーヴな人だったようだ。途中カナダに渡り引退復活などを繰り返したという。
(詳しくは知らない)ーここで急いで書いておくとボーイははレスリーを書く資格は全然ない。御免。
並の芸能人とは違い、レスリーは既に大スター。
孤高で純粋無垢なオノコ ー 歌を聴いてもそうおもう。

自死(?)のわけは、こう推量する。

彼が最も信頼し愛していた者からの背信裏切行為。
それ故の衝撃悲観絶望。


言葉にすると簡単だが、h女史 +周辺の方の一年間の日記を読んだ所感だ。
四十半ばの明星絶頂の中年男が自死するのはそれ以外にはないのではないか、

というのがいまの時点でのボーイの結論なり。

いずれ時が経てば真相がわかるだろう。
いつかまた文華のそばを通る機会があれば、香港のハムレットに黙祷を捧げるつもりでいる。