図書館で岩城宏之の表題曲の新譜ディスクが二種入ったことを知ったのは、昨年9月半ばのこと。
予約して届いたのが、1.は今年の1月、2.はつい三日前のこと。それだけ予約が多かった。
1.岩城宏之指揮 オーケストラアンサンブル金沢 05.3.19.金沢でのライヴ録音
この演奏を聴くたびに涙がこぼれてしようがない。泣けないでは聴けぬ名演だ。
その理由をうまく説明はできないのが残念だけど。
岩城の若かりしころNHK-TVや実演に接したこと、気取らないフランクな性格、愛読した本たち。。
そんな想い出がどっと蘇って来る所為だろうか?
オケはご存知のとうり、イワキが団員を世界に呼び掛けて集めた凄腕メンバーの手兵。
文字どうり室内楽向の小じんまりとしたオケだが、大曲にも取り組んだ。
ジャケット写真を見るとこの曲を演奏する通常オケの半分以下で、当然音も薄く迫力には欠ける。
しかし、小編成ゆえにイワキの意図がよくわかる演奏。管楽器のバランスも素晴らしい。
白鳥の歌のひとつとなった。イワキさん、ありがとう。
2.岩城宏之指揮 バンベルク交響楽団 68.9.23-27 スタジオ録音 バンベルク市
当時の首記オケの常任指揮者はヨゼフ・カイルベルトでN響の名誉指揮者。
カイルベルトがN響を振ったワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー前奏曲」
は中三だったかの時ににTVで見たが、その力強く骨太な表現力に圧倒されてしまった。
その後にB楽団はKと一緒に来日したそうだ。当時よく客演していたイワキも振った由。
演奏はたいへんオーソドックスで1.とはテンポのとり方などはかなり異なるが、自分の信じる
ブラームスをひたすらに追い求めるような演奏だ。終楽章はもうすこしダイナミックな表現に
してほしかったが、若き日のイワキの音楽をじゅうぶんに愉しめる。
コピーしたのでこれからも聴きつづけるだろう。
http://www.iwakihiroyuki.com/
ハナシは変わるが、芥川也寸志はブラームスの1番を病床で聴きたい、と言って亡くなって
いったそうだ。