いまごろの季節になるといつも想い出す小説がある。

原題 ゲルトルート(Gertrud) H.ヘッセ作
(女性の名)


ひとは年をとると青年時代より満足するものだ。
でもだからといって青年時代を咎めようとは思わない。

なぜなら青春はあらゆる夢のなかで輝かしい歌のように響く。

それに青春そのものの時より、現在では青春という言葉はいっそう
清純な調子で響くものだから。

(最終部)

(高橋健二訳/新潮文庫 をすこし変えました)