きのうの中野美代子女史の「砂漠に埋もれた文字」(ちくま学芸文庫)につき
書き漏れたことがあるので、記しておくと。。
この本は女史の処女作(71年9月刊 埴新書)で文庫版で大幅に増補された。
パスパ文字は表音文字で、モンゴル語の主に官位などお役所での公用文字、
とくにハンコとして使用されたようだ。
チンギス・ハーン、もとい、ジンギス汗(という書き方がボーイには馴染んでいる)が
中国ユーラシアの支配者になってから、チベット人 パスパ(or パクパが原音に近いらしい)に
命じてつくらせたもの。
本書にもあるとうり、残念乍ら一般には行き渡らず、モンゴル人たちは
従来どうりウィグル文字(出土した錆びた鉄剣のような文字)を17世紀まで使用し続けたという。
74年頃、長崎の鷹島で元の襲来時(弘安の役、1281年)に沈んだとみられる
青銅製の印鑑が届けられた。これが中国音のパスパ文字で記されており、(途中省略)
女史は下記のように解読した。
(アルファベットのみ写し、他の記号は省略。ここでは表記できぬ故)
大きさは6.5cm平方。
縦読みで五文字。(パスパはお隣の中国に敬意を払い、縦書きとした)
左から、印面の音、正書法による音、漢字
1. gon → kuan → 管
2. geun → kiun → 軍
3. dzung → tsung → 総
4. b(a) → pa → 把
5. yin → yin → 印
「管軍総把印」
「正七位のシナ人下級将校」=「千戸」ランクの軍隊の指揮者 のハンコだという。
(女史はどういうわけか、中国のことをシナと呼ぶ。支那ではない。)
元寇の乱の副産物が出てきた訳だ。
パスパ文字はハングルや満州族の文字にも影響をあたえたという。
もしあなたが世界各地の古い言語やその歴史に関心があれば、読んで愉しめ、また
知的好奇心をも満足させて呉れる本であり、失望することはないことを保証する。
書き漏れたことがあるので、記しておくと。。
この本は女史の処女作(71年9月刊 埴新書)で文庫版で大幅に増補された。
パスパ文字は表音文字で、モンゴル語の主に官位などお役所での公用文字、
とくにハンコとして使用されたようだ。
チンギス・ハーン、もとい、ジンギス汗(という書き方がボーイには馴染んでいる)が
中国ユーラシアの支配者になってから、チベット人 パスパ(or パクパが原音に近いらしい)に
命じてつくらせたもの。
本書にもあるとうり、残念乍ら一般には行き渡らず、モンゴル人たちは
従来どうりウィグル文字(出土した錆びた鉄剣のような文字)を17世紀まで使用し続けたという。
74年頃、長崎の鷹島で元の襲来時(弘安の役、1281年)に沈んだとみられる
青銅製の印鑑が届けられた。これが中国音のパスパ文字で記されており、(途中省略)
女史は下記のように解読した。
(アルファベットのみ写し、他の記号は省略。ここでは表記できぬ故)
大きさは6.5cm平方。
縦読みで五文字。(パスパはお隣の中国に敬意を払い、縦書きとした)
左から、印面の音、正書法による音、漢字
1. gon → kuan → 管
2. geun → kiun → 軍
3. dzung → tsung → 総
4. b(a) → pa → 把
5. yin → yin → 印
「管軍総把印」
「正七位のシナ人下級将校」=「千戸」ランクの軍隊の指揮者 のハンコだという。
(女史はどういうわけか、中国のことをシナと呼ぶ。支那ではない。)
元寇の乱の副産物が出てきた訳だ。
パスパ文字はハングルや満州族の文字にも影響をあたえたという。
もしあなたが世界各地の古い言語やその歴史に関心があれば、読んで愉しめ、また
知的好奇心をも満足させて呉れる本であり、失望することはないことを保証する。