「本」2月号に武田雅哉(北海道大学教授中国文学)が「三蔵法師になりたかった
女たち」と題して一文をものしている。大変面白く為になった文章なのでここで紹介したい。

内容についてはあとから簡単に記すが、そのなかで反串という中国の演劇用語について
述べている。役者が本来専門ではない役柄を演じるとある。パロディーみたいなものらしく、
反串することにより、芝居への理解を深められるということなんだそうだ。そして、
香港映画の男優たちのほとんどが、どこかのシーンで女装をさせられるのは、
もはや香港映画の「お約束」といってもいいほど
とある。
性の転換!

へーそうなんだ、ちょっとキモイような感じもするんだが。。
女→男ならよく見かけるけど。
勉強になりました。

内容をまとめると;

TVドラマ『西遊記』で「男である三蔵法師を女優が演じる」ことをあげて「日本人による中国文化の改竄である!」
と怒っている一部の中国人がいると。(フジTV系、SMAPの香取慎吾を指す)
長いので話を端折るが、そのことで筆者は論を展開し、改竄どころか
本来の「大唐西域記」を荒唐無稽の話に変えた挙句に完成したのがこの西遊記。偉業の旅を、豚猿ごときと
旅をともにするというお話に作り替えてしまうのは、古典を踏みにじること、改竄にならぬのだろうか
と逆に指摘する。

そして、ちゃっかりとご自分の本の宣伝も忘れない。

楊貴妃になりたかった男たち」(講談社選書メチエ)

↓。
男は女に 女は男に
中国人の奇妙な情熱

ヘンテコな服装は妖怪である。世が乱れ礼が失われた証拠である。だが周恩来も女装した。
美少年もむくつけき大男も、中国の歴史は女装に身も心も捧げた男たちで満ちている。
悠久の大陸を横断する奇妙な妖怪=服妖に見る、知られざる中国の素顔。



さいごに、こう述べて締め括られる;

中国人が、いまどきになって異国の『西遊記』に苦言を呈しはじめたのも、日本人が、いまじゃあんな「西遊記」
しか作れないのも、つまるところ、両者ともに、想像力がケチくさくなってしまったことに由来するのでしょうか。

なるほどなあ!