辻の文章を読むのは至福に近い。

料理談義も勿論さることながら、彼の教養知性が文章のいたる処に
ちりばめられているからだ。
どのくらいの本(とくに仏語の文献資料)を蒐集され読まれたのか、
想像するだに気の遠くなるおもいがする。

「辻静雄コレクション」全三巻(ちくま文庫 04年)のなかの第二巻
「料理人の休日」のいくばくかの頁をめくるだけで、それはわかる。
もともと読売の記者だっただけに、文章は気取りすぎず読みやすい。

ちなみに、Qさんも辻の「ヨーロッパ一等旅行」よりその旅行の本(だったとおもう)で
引用されている。

料理に「究極」なし(文春文庫)
フランス料理を築いた人びと(中公文庫)


なども忘れ難い。

真面目な方だったようで、カールリヒター同様に若死された。
(93年還暦で夭折)

ときどき疲れきったとき、辻の本を開き勇気や癒しを与えて貰っている。
感謝。