Todeshymne】 1911 Hans Carossa



 死の讃歌 (部分)  H.カロッサ

谷間では私を
死にゆく人びとの
焼き焦がす愛が待っている

...

そしてすべての 沈み行く人びとのため
ひとつの容器に わたしは満たそう
飲んだあとでも ずっと永らく
ひとを酔わせる飲み物を

燃えながら 沈んで行くかれら
それから かれらの死屍の上に
最後の想念が
うつくしく 羽ばたいて飛ぶ

それまでは きづかなかった想念が
さびしい氷原の故郷の空を
飛んで行く かもめのように

(「カロッサ詩集」より 藤原 定訳 68年 角川書店)