＜SCIENCEより・・・備忘録としてブログします(*ﾟ▽ﾟ*)：有力説がまた覆された？＞
高速自転する地球から形成された月 Forming a Moon From a Fast-Spinning Earth
2 つの新しい研究報告によると、地球上の大衝突（ジャイアント・インパクト）によって形成された月の化学組成は、地球に類似している可能性があるという。 長年の通説では、約45 億年前に火星サイズの惑星が地球に大衝突し、 その惑星の物質を主な材料として月ができたとされてきたが、今回の研究結果はその通説を覆すものある。
1970 年代に初めて提唱された大衝突モデルは、1980 年代になると有力視されるようになった。 というのも、衝突のコンピュータ・シミュレーションにより、月は主に地球以外の物質から形成されたことが示唆されたためである。 しかし、より良質の月のサンプルが利用できるようになり、実は月の化学組成が 地球のそれと非常に類似していることが判明したため、この説は問題視されるようになった。
また、こうした以前のモデルでは、大衝突後の地球‐月系がもつ自転運動量つまり角運動量は 現在と同じだと想定されていた。Matija Cuk らは一連のコンピュータ・シミュレーションを行い、高速自転する原始地球に大衝突が起こると、地球の物質でできた月形成円盤が形成されることを示した。そして、高速自転する地球‐月系は当初は角運動量を失うものの、最終的には太陽の重力的影響によって現在の状態に回復することを見出した。
また別の研究では、Robin Canup らが、地球と同程度の質量をもつ惑星が低速で大衝突した場合のコンピュータ・シミュレーションを行った。その結果、地球のマントルと同じ化学組成をもつ月ができると示されたことから、 月が地球から形成された可能性があるという証拠がさらに増えたことになる。
＜ SCIENCE：Making the Moon from a Fast-Spinning Earth: A Giant Impact Followed by Resonant Despinning 引用＞
A common origin for the Moon and Earth is required by their identical isotopic composition. However, simulations of the current giant impact hypothesis for Moon formation find that most lunar material originated from the impactor, which should have had a different isotopic signature. Previous Moon-formation studies assumed that the angular momentum after the impact was similar to the present day; however, Earth-mass planets are expected to have higher spin rates at the end of accretion. Here, we show that typical last giant impacts onto a fast-spinning proto-Earth can produce a Moon-forming disk derived primarily from Earth's mantle. Furthermore, we find that a faster-spinning early Earth-Moon system can lose angular momentum and reach the present state through an orbital resonance between the Sun and Moon.