自動車メーカーN社に勤務していた時期・・・
キャリアパスの一環で、販売会社への出向時期がありました。
私の場合、25ヶ月。
人事部門に所属していた私は、部門の伝統?でもある、
激戦区の名古屋への出向になりました。
T社のお膝元である、名古屋ですから私のN社のクルマは・・・
いいえしっかり当時も沢山?走っていました(^O^)
しかし、占有率、台数ともそれは言うまでもなくT社が圧倒的。
25ヶ月間はあっというまであり、毎日が苦闘の日々でした。
営業という仕事であるからというのではなく、毎月いくら売上
(台数)ても、翌月になれば全てゼロからのリセットスタートになる世界・・・
またいくら科学的なマーケティングや商品計画の下に
開発されたクルマでも、商品力がなければ絶対売れない・・・
売れない商品を販売しなければならない販売会社は次期型が
販売されるまでの2年ないし4年は冷や飯を食う・・・
「お前たちがダサいクルマをつくったから、俺たち販社のプロパーは
フロントガラスに万札20枚貼り付けてこうして売ってるんだよ・・・」
配属された営業所長の口癖です。
まあ、どんな業界も厳しさはいっしょだと思いますが・・・、
このような世界をキャリアパスの一環とはいえ経験させて
くれたことは、・・・今の自分にとっては幸いな事だったと思います。
担当エリアは名古屋駅の裏側のエリア
中村区太閤通りの周辺・・・。
こんなことがありました。
店頭営業にシフトしてきているとはいえ、当然担当エリアの
車検リスト等をもとに訪問営業も行います。
ある、車検時期の到来を迎えるお宅(自営業)にほぼ1年を
かけて足げに通っていました。
とうとう車検残3ヶ月になった時・・・
具体的な買い替えのおすすめ訪問を・・・半ば強引に行っていました。
ある日、ついにそのお宅から見積もり依頼をいただいたので、
ここはチャンスといい条件提示で見積書を持っていきました。
雰囲気的に、そこで決める感じをそのご主人から感じ取ったので
かなり粘った商談をした・・・そんな記憶があります。
粘ったものの、ご主人の顔は冴えませんでした・・・。
どこが納得いかないか・・・聞き出そうと必死になっていると
とうとうご主人から本音が・・・
「N社の○○○←(私の名前)さんは、この1年間よく通ってくれた・・・
でもね・・・T社のセールスは、8年目なんだよね・・・○○○さんと
同じようによく立ち寄ってくれてね・・・8年間 」
この言葉を聞いて、そしてご主人の本音を聞いて私はいったん
見積もり条件を含めて出直すことにしました。
ご挨拶をしてご主人宅から出て・・・人の気配を感じました。
それはT社のセールスでした。
彼は、私の商談が終わるのを1時間待ってたようです。
私の入れ替わりに、彼はご主人宅のベルを鳴らしました・・・。
それから1ヶ月後、ご主人のお宅の車庫には新しいT社の
新車が輝いていました。
これは出向期間中の全ての商談の中の一つです。
でも、とても印象深い自分にとっての体験でした。
勝つために必要なものって何か・・・。
今は義理なんてものは・・・ないと思います。
また自分が持つ商品の商品力だけではないことは
営業に携わっている方、経験のある方はおわかりでしょう。
ネットで全てが手に入る・・・そんな時期に
こんな話は古臭いかもしれませんが、
そうはいっても商品のやりとりって・・・
最終的には人間と人間の行動やそれぞれの意思が
大きく関わっていることに変わりはないと思う
今日この頃です(^O^)。