蝉の鳴かない8月(2-2話) | lilychien-fc2012

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ショートストーリー、イラスト制作(練習中)記事、音楽関係、日常の話題など・・・気ままな日記です。


「 どうしていた? 元気してた? 」


『 うん・・・。何とかね・・・。』


「 どんな感じなの・・・そっちは?
  環境はいいのかい? 」


『 そーね・・・。私の勤め先のラキア(Raqi'a)は
   暖かいし、寒がりの私にはとてもいいとこだよ。』



・・・紗南はとても元気そうだったので、安堵した・・・

 


「 急に居なくなってしまうんだもの・・・僕は
   きちんと送り出す挨拶さえ・・・出来なかった・・・
  だからすごく心残りだったんだ・・・。 」


「 普通は1週間くらい余裕もって引き継ぎとか
  するじゃないか・・・なのに急すぎるよ・・・。」


『 引き継ぎといってもね・・私の場合、全て自分で
  片付けは予め済ませておいたから・・・ 』



・・・そう紗南は急に新しいフィールドに決まって
そこに行ってしまったんだ・・・



「 今は忙しいのかい? 」


『 そーね・・・どうだろう・・・。
一段落したところかな・・・。 やっと少し余裕が出てきたよ・・・。』


「 受付をやっているんだってね・・・紗南は・・・」


『 ・・・よく判ったね・・・那由他!! 』


「 うん。この間、澪(みお)に聞いたんだ・・・。」


『 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 』


『 あっ そう言えばこの間 澪さん 見かけた・・・
  澪さんは・・・ゼブルの建物だったかな? 』


「 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 」



・・・・紗南は細い左腕のクロムハーツのブレスを
くるりと回した・・・・



「 ・・・紗南が受付なら・・・訪れる人は皆、
  びっくりするだろうね・・・可愛いし・・・
  そして何より美人だし・・・』
 

『 相変わらずお世辞が上手い・・・
  澪さんが聞いたら・・・怒っちゃうよ・・・』



・・・しばらく紗南の近況を聞いていた・・・
本当に一安心した気分だった・・・


『 去年に比べたら・・・今年の夏は・・・
  楽勝かな?・・・不謹慎だけどね・・・マイペースで
  仕事が出来る・・・』


「 そう・・・それは何よりだね・・・。」


『 たまにね・・・突発で急に忙しくなることがあるの・・・』


「 そうなのか・・・急なお客さん? 」


『 そうなの。急に沢山予約チケットが届いて・・・それを
  一人ひとり行先を確認して・・・仕分けしていかなければ
  いけないのよ・・・去年の3月はとても忙しかった・・・』


「 年度末だからかい? 」


『 ・・・違うわ・・・そんなレベルのものじゃなかった。
 そう去年の3月11日はね・・・』


         (続く)
                       by nayuta