「 どうしていた? 元気してた? 」
『 うん・・・。何とかね・・・。』
「 どんな感じなの・・・そっちは?
環境はいいのかい? 」
『 そーね・・・。私の勤め先のラキア(Raqi'a)は
暖かいし、寒がりの私にはとてもいいとこだよ。』
・・・紗南はとても元気そうだったので、安堵した・・・
「 急に居なくなってしまうんだもの・・・僕は
きちんと送り出す挨拶さえ・・・出来なかった・・・
だからすごく心残りだったんだ・・・。 」
「 普通は1週間くらい余裕もって引き継ぎとか
するじゃないか・・・なのに急すぎるよ・・・。」
『 引き継ぎといってもね・・私の場合、全て自分で
片付けは予め済ませておいたから・・・ 』
・・・そう紗南は急に新しいフィールドに決まって
そこに行ってしまったんだ・・・
「 今は忙しいのかい? 」
『 そーね・・・どうだろう・・・。
一段落したところかな・・・。 やっと少し余裕が出てきたよ・・・。』
「 受付をやっているんだってね・・・紗南は・・・」
『 ・・・よく判ったね・・・那由他!! 』
「 うん。この間、澪(みお)に聞いたんだ・・・。」
『 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 』
『 あっ そう言えばこの間 澪さん 見かけた・・・
澪さんは・・・ゼブルの建物だったかな? 』
「 ・・・・・・・・・・・・・・・・ 」
・・・・紗南は細い左腕のクロムハーツのブレスを
くるりと回した・・・・
「 ・・・紗南が受付なら・・・訪れる人は皆、
びっくりするだろうね・・・可愛いし・・・
そして何より美人だし・・・』
『 相変わらずお世辞が上手い・・・
澪さんが聞いたら・・・怒っちゃうよ・・・』
・・・しばらく紗南の近況を聞いていた・・・
本当に一安心した気分だった・・・
『 去年に比べたら・・・今年の夏は・・・
楽勝かな?・・・不謹慎だけどね・・・マイペースで
仕事が出来る・・・』
「 そう・・・それは何よりだね・・・。」
『 たまにね・・・突発で急に忙しくなることがあるの・・・』
「 そうなのか・・・急なお客さん? 」
『 そうなの。急に沢山予約チケットが届いて・・・それを
一人ひとり行先を確認して・・・仕分けしていかなければ
いけないのよ・・・去年の3月はとても忙しかった・・・』
「 年度末だからかい? 」
『 ・・・違うわ・・・そんなレベルのものじゃなかった。
そう去年の3月11日はね・・・』
(続く)
by nayuta
