秘密#24
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http://ameblo.jp/lily-u-know/entry-12258700340.html
秘密#25「Confession」
「いるよ。婚約者」
ドンへは自分が問うたにも関わらず、
ヒョクチェが肘鉄を食らわすまで
固まっていた。
チャンミンももちろん驚いたけれど、
相手が話してくれるまでは、
自分からは詮索しないタイプなので、
ユノの事も、あまり深いところまで聞いたことが無かったな、と思い
この事に触れて良いのかどうか分からず、黙っていた。
ところがユノはあっけらかんとして
何でもない事でしょ、といった風に
クスクスと笑っている。
「みんな変な顔(笑)、言っとくけど、親が勝手に決めただけで恋愛感情はないから。その女性とは数回しか会った事ないし」
「、、、つまり政略結婚、ってこと?金持ちの世界って本当にそんなことあるんだな。俺たち庶民には理解出来ないわ」
「ドンへ。言い方。失礼だよ。、、、ったく、誰のせいで、」
「それでも、婚約者って事に変わりはないんでしょう?、、、ここにも、来るんじゃないの?」
チャンミンがそう言った時、
ユノの顔が一瞬意地悪そうに歪んだ。
「言ったろ?ここには誰も来ないって。来させないよ」
「来させないって、、、」
「さ、この話はここまで。ほらドンへ、風呂入るんだろ?あぁ、結構酔ってるみたいだし、ヒョク、ついてってやって。入浴剤もタオルも好きなように使っていいから。それから、悪いけどチャンミンはここの後片付けを頼むよ。俺は寝るとこ準備する。何かあったら言って」
誰にも喋らせないように、
次々と言葉を畳みかけ
無表情で指示をするユノは、
とても不自然に見えた。
けれど、察しの良い彼らは、正直、気にはなるものの、
ここは黙って言われた通りにするのがベストだと判断し、
それ以上追及する事はせずに
ドンへはヒョクに半分抱えられながらバスルームへ向かい、
チャンミンも洗い物に取り掛かった。
それからしばらくしてユノは、寝室に置きっぱなしだったらしい
蓋のあいたペットボトルを数本持って、
中身を流しにキッチンへやって来た。
「うわ。変色してるじゃない、、、いつの?」
「いつのって、、、わかんない。いつだろ(笑)」
「笑ってる場合じゃないでしょ。こんなに溜めてちゃだめだよ。カビが生えてる。病気になったらどうするの。貸して。流すから」
小言を言いながらも内心は、
全く生活感がなく殺風景なこの部屋に対して、
とんでもなく不釣り合いなソレがある事に
なんだか安心していた。
「昼間は気付かなかったけど、いったいどこに置いてたの」
「一応見えないとこに隠してんだよ」
「何言ってんだか。誰も来ないなら隠す必要ないんじゃない?彼女が来るなら隠すだろうけど、、、、」
チャンミンは手が濡れているのも構わず、
両手で自分の口を抑えた。
が、時すでに遅し。
気にしない、気にしてないと思えば思う程
逆に意識して墓穴を掘ってしまうのが人間だ。
「あの、、、ごめん。余計なコト、、、言った」
「、、、さっきの話し、気になる?」
「え、あ、、、婚約者がいるなんて初耳だったから、、、」
「話す必要ないと思ってた」
「でも、結婚するんでしょう?」
「した方がいい?」
「それは、、、愛が、、、愛があるなら」
さっきの話しを思い出しても、
そう答えるしかなかっただろう。
それでも何だか、ユノを試すような言い方になってしまい、
チャンミンは気不味くて下を向いた。
その直後だ。
ユノは流しっぱなしの水道を止め、
気合を入れる様に小さな深呼吸をしてから
淡々とではあるが、落ち着いた様子で話し始めた。
俯いていたチャンミンはすぐに顔を上げ、
きちんと話を聞こうと、ユノと向き合う位置に立った。
「、、、あのさ、親父からここの支社への配属を命じられたのは事実だけど、それは俺が頼んだからだ。本当は別の場所、、、別の国に行かされる予定だった」
「海外の支社?」
「んー、、、婚約者が住んでる国へ。つまり、彼女の親がやってる会社に修行に行く事になってたんだ」
「、、、、そう」
「でも、俺の気が変わった。(笑)、俺、半分追い出されたも同然なんだよ(笑)」
「だけど、婚約は解消してないんでしょう?」
「今のところは、、、ね。だけど、親父に逆らったわけで、、、つまりさ、」
ユノの話によると、婚約者のところへ行かされる事は、
ずっと以前に親同士で決められていたらしく、
半年ほど修行してからすぐに結婚する予定だったのだそうだ。
ドンへが言ったように、政略結婚はよくある話で、
ユノも彼女も、親の敷いたレールに乗る事には
大して疑問にも思っておらず、それが当たり前だと思い、
拒否するなんて考えたことも無かった。
だが、ユノはある日突然、
その話を白紙にしてほしいと言ったそうだ。
当然、親御さんは許可するわけがない。
そうしてくれなければ、大口の資本提携が無くなってしまう。
お互いの会社にとってそれは、相当な痛手となるからだ。
「そんな状態でよく、ここの支社に移って来れたね」
「提携を結ぶのは、経営状態のバランスが悪いからだ。となると、利益の少ない支社から閉鎖していく必要がある」
「、、、あ!まさか、」
「ビンゴ。Chloeやドンへには言えないけど、ここは赤字は出してないけど閉鎖の対象になってたんだ。そこで、俺が必ず立て直すから、そしたら認めてくれって話になってさ」
「それで、、、生活面の資金援助も打ち切りに?」
「そういう事。使えるお金は俺の貯金と給料しかない。だから家具は安いので良いって言ったんだ(笑)」
「、、、それにしても、例え小さな支社からでも、ユノがひとつずつ軌道に乗せてくれるのなら、会社の為になるでしょう?それなら、そんなに怒らなくてもいいのにね」
「あぁ、それは他にも理由がある。聞きたい?」
「、、、聞いていいのなら」
「それはな、、、他に好きな人がいるって言ったからさ」
つづく
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