秘密#18「Sprout」
ユノが住むセレブなマンションに到着してから、
しばらく騒がしくしていたドンへとヒョクチェだったが、
殺風景な部屋ではそれ以上イジる事も出来なくて
とりあえずチャンミンが淹れた温かいココアを飲み始めた。
しかしながら落ち着かないのか、
まだ飲みきらないうちに今度は、
スケールを片手に全ての部屋を回って長さを測り始めた。
それにしても、
自分好みのインテリアを想定しつつ
勝手にレイアウトを決めていく二人。
ユノは座ったまま、ただニコニコと微笑んで眺めて居たが、
チャンミンは盛り上がるふたりに黙っていられず、
ここはユノの家なんだからと一度諭したのだけれど、
返事だけして聞く耳持たず、の状況。
2人の事をよく知っているチャンミンは、
気が済むまでやらせないと静かにならないと思い、
半ば呆れて笑い、カップを片付け始めた。
ところが、何気なく発したユノの一言によって
場の空気が一変し、チャンミンは予想外に気を揉むことになってしまった。
「なんか、ドンへとヒョクチェを見てると、まるで新婚夫婦みたいだなぁ」
「、、、、え、」
「は(笑)、何言ってんのユノさん。そ、そんなわけないでしょ。僕たちは男同士だし、そんなことあり得ない」
「ヒョク!お前こそ何言ってんだ、」
「なんだよ。だってそうだろ?(笑)、仮にそうだったとしてもそんなの一時的なんじゃない?要するに、単なる興味本位、とかさ」
「どういう意味だよそれ」
向き合った二人は、さっきとは打って変わって
険しい表情で視線を合わせている。
ヒョクチェとは長い付き合いであるチャンミンも、
こんな様子は初めて見た。
「ちょっと。どうしたのふたりとも。何か変だよ」
ユノもさすがに気まずさを感じて、
誰に問いかけるでもなく呟く。
「俺、、、なんか気に障る様な事、、、言ったっけ?、、、あれ?」
「ふ(笑)、なんでもない。ヒョクは時々神経過敏になるから困るよ。あ、チャンミンの片付け終わったんならそろそろ出掛けようぜ」
「え、、、あ、うん、、なんかよく分からないけど、、、、ヒョっくん平気?」
「もちろん僕は全然大丈夫。ドンへの無神経さが問題な気がするけどね。、、あぁ、鈍いドンへさん。さっきサイズ書いたメモ、忘れないでね」
「なんだそれ。いちいち言われなくてもちゃんとポケットに入ってるさ。俺、先に下に降りて待ってるわ」
そう言ってドンへはサッサと玄関を出て行った。
後を追うようにヒョクチェも続いて行き、
ユノとチャンミンも上着を羽織り、身支度を急いだ。
バタバタと慌ただしく、靴を履いて出ようとした時、
ふとユノがチャンミンの腕を掴んで
心配そうに言う。
「なぁ、チャンミン。あのふたり、様子が変だよな。俺、なんか変な事言ったかな?」
「いゃ、言ってないと思うよ。僕もあんなヒョクの顔初めて見たし、、、あの二人の間になにかあったのかも知れないけど、それがなんだかさっぱり分からない」
「、、、どうしよ」
「良いよ。放っておこう。どうせ分からないんなら考えるだけ無駄だよ。せっかくみんなでお出掛けなんだし、気にしないで楽しく行こう」
「そう、、、?、じゃぁ、とりあえず行こっか、、、」
とは言ったものの、ふたりとも内心は、
気にならないはずはない。
けれど、何かあればきっとどちらかが話してくれるだろうと思い、
それまではあえて触れない方が良いと、
エレベーターの中で話しあった。
そして、多少の気まずさは覚悟して、
エレベーターが1階に着いてドアが開いた瞬間、
ドンへとヒョクチェが頬を寄せ合っている姿がある。
「え、、、」
「あ、、、」
チャンミンとユノは反射的に互いの顔を見合わせて、
すぐにまたドンへたちに視線を戻したのだが、
その間、僅か1秒足らずだろうか。
ふたりは既にいつも通りの距離感で、
こちらを見て立っている。
咄嗟に離れたような気もしたのだけれど、
何しろ一瞬だったから確信が持てない。
それに、普段と何ら変わりなく話しかけてきたものだから、
尚さら見間違いのような気さえした。
「やっと来た。遅っそいな。靴履くだけだろ?何分かかってんだよ」
「ホント。5分は待ったね。待ちくたびれちゃった(笑)」
エレベータからは随分離れていたし、本当に一瞬だったから
たまたま角度的にそう見えただけなのだろうと思い、
ユノとチャンミンは勘違いだな、と小さく笑って、
2人のところへ駆け寄った。
「よし。準備万端。明日は休み。時間はたっぷりある。なんなら夜中まで付き合っても良いぜ」
「(笑)、張り切ってるね、ドンへさん。じゃ、なにから買おうか」
「やっぱ先に家具デショ。僕たちが、、、あっ、僕がこないだ買い物した店に行かない?輸入家具とか、すごくセンスいいんだ。きっとユノさんも気に入ると思う」
何事も無かったようなドンへとヒョクチェの様子から、
さっき衝突したかに見えた事も、
もはや気のせいだったかな、、、と
ユノとチャンミンは肩をすくめて顔を見合わせた。
つづく
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
こんばんは(・∀・)
常連様方にはお馴染み
じわじわのろのろと物語に入ってきました。
Snowyの時も何度かぼやいたと思うけど、
性格上どうしても、時間の流れとか状況とか
感情とか、軽く簡単に書けなくて、、、(;´・ω・)
何かと用事も重なって
更新が遅くなりがちな今日この頃ですが、
どうぞ長い目で見守って下さればと思います(o´・∀・`o)
あと、一度アップしてからも自分で読み返して、
部分的に手直ししたりすることもかなり多いので、
もし、読み手様方が「あれ?最初に読んだとの違くね?」
と思っても、「あ、リリィ直したんだな」と察して下されば幸いです。
もじ(´pq`*)三(*´pq`)もじ
どうぞよろしくお願いしま~す
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