秘密#12「Sprout」
ある日の昼休み。
ユノとドンへは社員食堂の一角でランチを取っていた。
なにやら相談したい事があるといってユノが誘ったからだ。
すっかり親しくなった2人だが、そんな事を言われたのは初めてだし、
ドンへとしては何を言われても良いように
ある程度の気合をいれていたのだが、
相談の内容は実に、平凡な事だった。
つまりユノは、一人暮らしを始めてから一ヶ月が経った今、
家具がまったく足りていない事にようやく気付いたと言う。
それで、どこか安くて良い家具屋があれば教えて欲しいとの事。
ドンへはそれを聞いて、何だそんな事かと胸を撫で下ろしたのだが、
同時に少し疑問を感じていた。
なぜならば、いくらこうして対等に接していても、
ユノはこのコーポレーションの御曹司。
つまり、、、お金持ち。
スーツはもちろん、靴もカバンも一流品を身に付けている。
それなのに、家具が足りないだの、安くていい店だの、
どうもおかしい。
「あのさ、ひとつ聞いて良い?」
「真面目な顔して、、、なに?」
「ユノって、今までも実家を出て暮らしてたんだろ?その時使ってた家具が一通りあるんじゃないのか?」
「あぁ、それはそのまま置きっぱなしなんだ。だって、いつかまた行った時に家具が無かったら困るだろ」
「、、、てことは、今まで住んでたのは全て持ち家?」
「まぁ一応、、、。つまり、逆に言えばいつでも行けるわけだから、家具は揃えたままじゃないと困るんだよ」
「、、、なるほど」
「今住んでるマンションも転勤を機に購入したんだけど、また買い揃えればいいやと思って、空っぽの状態で引っ越して来ちゃって、そのまま今に至るっていう、、、」
「、、、なるほど」
なるほど、さすがセレブ。
庶民の斜め上を行く状況だと納得したが、
それにしたって疑問が残る。
「なぁ、やっぱ俺に相談したのは間違いなんじゃないのか?」
「、、、ん?どうして」
「だってさ、」
マンションを購入したのであれば尚更、
間に合わせに安い家具を買うのではなく、
長く使える良い物、
つまり、彼に見合った一級品を揃えるべきではないかというのが
ドンへの考えでもあり、気遣いでもあった。
「ん~、、、まぁ、ドンへの言う事は最もなんだけど、とりあえずの家具が有れば良いんだ。だって俺は結局、、、、、」
「、、、なんだ?急に口ごもって」
ユノは食事の手をすっかり止めて、
どこともなく視線を浮かせて黙り込んだ。
「、、、ユノ?おい、どうした。なにか気に障ったならごめん」
「あ、いゃ、、、何でもない。こっちこそごめん。で、どう?結局、買い物には付き合ってくれるのかな(笑)」
「、、、それは、、、もちろん良いけど、、、あ~ぁ、どうせならChloeが居ればよかったな」
「あぁ、Chloeさん、先週末からイタリアツアーの下見に行ってるから日曜日まで帰らないからね」
そんなわけで、
翌日の土曜日にブランチを兼ねて、
昼前にShimLeeで待ち合せる事になった。
━─━─━─━─━─
「、、、ちわ」
「いらっしゃいま、、、、あれ?ユノさん、、、土曜は仕事休みだからいつも来ないのに珍しい」
「安心して。土曜まで料理教室やってくれなんて我が儘は言わないから」
いつもならば素通りして、直接厨房に入ってくるのだが、
今日はそのままカウンター席に座ったから、
確かに今日は料理を教わるためではないと思い、
チャンミンはユノのコンディションを見ながら
珈琲豆のブレンドを始めた。
少しの意地悪と一緒に。
「っていうか、料理教室自体じゅうぶん我が儘だと思うけどね。、、、だとしたら今日はなに?ただ来ただけですか?」
「あ、いゃ、もちろん君の珈琲を頂く為でもあるけど、、、ドンへ、まだ来てない?」
「え??ドンへさん?来るの?」
「ってことは、まだか、、、。実は今日、ここで待ち合わせしてるんだ」
「へぇ、、、。休みの日にわざわざ二人でね、、、。あ。なにか良からぬことでも計画してるんじゃないでしょうね」
つづく
※今回のお話しで、ひとつだけ、伏線を張っています(*^-^*)
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
寒いですねぇ~~
わたし、少し風邪気味が抜けなくて、
月曜日、火曜日と偏頭痛がひどくて寝込んでました。
金曜日には大事な用事があるので、
ここで悪化するわけにはいかないのですが、、、
気合いですね。
気合い!
ってな時に、ナイスタイミングで、
チャンミンプレゼントが、、、、
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!
ほんとに、
このスッキリしない体を斬っておくれ
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