秘密#7「Sprout」
ユノ氏の登場により、何かと騒めいた一日ではあったものの、
さすがに仕事を放り出してまで彼の気を引こうとする社員はおらず、
業務に差し支える事も無かった。
自分の部下たちの仕事ぶりには自信があるChloeではあるのだが、
それはいつもより少しだけ、
怖い顔をした自分のせいかも知れないなと思い、
こっそりと苦笑いを浮かべていた。
そうこうするうちに、
気が付けば勤務終了の17時を迎えていた。
Chloéの部署は専門特化していて毎日とても忙しく、
ほぼ毎日残業といった風だ。
どこの企業でもそうだと思うが、男性社員は特に。
当然ながらChloéやドンへ、そして初日であるユノも容赦ない。
が、女性社員は半々といったところか。
今日は特に、早々に切り上げた人も多いようだ。
そんな彼女らがこぞってユノ氏を誘いに掛かっているがのを
Chloéはもちろん気付いてはいたが、
一応定時は過ぎたのだからプライベートであるのだし、
口出しする気などない。
ただ、
ユノ氏はすでにドンへから誘われていて、
今夜の予定は決まっている。
Chloéも一緒に行くのだから、間に入って事情を話し、
断ってあげようかとも思ったが、
彼が一体どういう風に彼女たちをかわすのか、
PCに向かいながらも様子を伺っていた。
過ぎる程に恵まれた容姿の持ち主で、しかも御曹司。
今まで女性からの誘いなんて数えきれない程あっただろうし、
縁談だってゼロではないだろう。
それらをどう回避しているのか、単純に興味を持ったからだ。
結果、
Chloéはなんとも意外な彼の姿に大ウケし、
ファイルで顔を隠しながら思わず噴きだした。
「えっ!!うぁ~~~、えっと、あー、んーーー、ありがとう。でも、、、本当に嬉しいんだけど、ごめんなさい。僕まだ仕事がたくさんだし既に今夜の予定もあるし、しばらく無理っていうか、、、あ、でも約束しますよ。近いうちに食事しましょう。僕は必ず約束を守る男です!信じて下さい」
たかだかアフターファイブの誘いなのに、
こんな丁寧な断り方をするなんて。
紳士というか、逆に無邪気というか、、、
一気に親近感を覚えたというものだ。
ドンへもおなじ感想らしい。
こそこそとChloéに近付き耳打ちをした。
「ねぇChloe、見た? あいつったらほんとお人好しだね。あんなのサラッと、まだ仕事があるから無理。また今度誘ってね、ぐらいで良いだろうにさ」
「(笑)、そうね。でも、とても優しい断り方だから誰も傷付かない。あなたも見習えばもっとモテるわよ」
「、、、はん(笑)、俺はモテたいなんて思ってないからね。さぁ~~、仕事仕事」
「硬派なんだか不器用なんだか(笑)」
それから3時間程経過し、フロアに残っている人もまばらになって、
Chloéたちも切り上げる事にした。
「さて、おふたりさん。どう?そろそろ」
「俺、とっくに切り上げてオンラインゲームしてた」
「、、、あっそ。ユノは?」
「うん、大丈夫。それで、どこに連れてってくれるんでしょう?」
「あ、それな。ShimLeeって言う店なんだけど、すっげー上手いカクテルが飲めるんだよ。めっちゃおススメ」
「え??ShimLee?あの、そこってカフェだよね?夜は開いてないんじゃ、、、」
「知ってるの?あそこ、昼間はカフェだけど、夜はカクテルバーなのよ」
「今朝初めて行ったばかりなんだけど、うちの近くで、、、彼、、、あ、チャンミン君って、カクテルも作れるの?」
「いゃ、それはまた別人。ま、ユノが知ってたなら丁度いいや。とにかく行こうぜ」
ユノはなんだかよく分からない、という顔をしていたが、
ドンへが荒っぽく肩を組んで、
ぐいぐいと引っ張るものだから、
時々お互いの足を踏み、転びかけてはまた歩く。
「男っていくつになってもガキね、、、」
「なんか言った?」
「別に。あ、ほら、タクシー呼んでおいたから早く乗って」
「さすがChloe。ほら、ユノ、乗って乗って」
20分ほどで店に到着すると、ユノは今朝来た店と確かに同じだ、と言い、
二面性を持つ「ShimLee」に驚きつつ、感心もしていた。
「へぇ、、、良いアイデアだね。今朝は全然気付かなかった。なにしろ腹ペコだったしな、、」
「ぼんやりしてないで、ユノから先に入って、ほらほら」
ドンへがユノの背中に手を回し、
中に入るよう促すのだが、それがどうも不自然でしつこい。
表情もなんだかいつもと違うのは
気のせいではなさそうだ。
「、、、ねぇドンへ。どうして一番前に居るあなたが先に入らないの?いつもなら真っ先に飛び込むのに」
「、、、え、それはだってほら、今日はユノが主役だし、」
「いつもそんな事気にしないじゃない。あなた、なんだか様子が違う気がする。緊張してる時の顔だわ」
「そんな事ないって(笑)、いつもと同じだろ」
「いいえ。プレゼンの直前と同じ顔だもの。長い付き合いだから分かる。どうしたの?、、、まさか、この店でなにか悪さでもしたとか、、、」
少し冗談めいて問いかけてみると。
ドンへはそれを察したのか、ぽつりと呟くように返事をした。
「、、、隠せないよな、やっぱり。、、、けど、今はまだ話せる段階じゃないから、そのうち、、、ね」
「ふぅん、、、。よし、じゃあ私から入っちゃお。最近、夜は来てなかったから、久しぶりにヒョっくんと逢えるから嬉しい♪」
そう言いながらドアを開ける時、視界の角に
咳払いをするドンへが見えたが、
Chloéはあえて気付いてないふりをして中に入った。
「こんばんは~~」
「いらっしゃいま、、、あ、Chloeさん!久しぶりだ~~~。嫌われたかと思ったよ~」
「新しいお客様も一緒よ。紹介する。彼はユノ。今日からうちに所属なの」
「こんばんは。初めまして。ユノと言います」
「お~、超イケメン。なかなかイケてる僕でも負けそうだ(笑)」
「あと、ドンへも来てるわよ」
「えっ!?」
「!!、なに!びっくりした。ドンへ居るわよ?別に珍しくないでしょう?って、ちょ、ドンへどこ行った?」
「あ、さっき急にお腹痛くなったって言って、トイレ?かな」
「え。は?」
「えぇえぇっ!!お腹痛い!?」
いちいち過剰反応するヒョっくんの様子からして、
やはりここで何かあったんだな、と思わざるを
得ない状況。
「、、、気になるわ、ったく。」
Chloéはさっきとは違った「苦笑い」を浮かべた。
つづく
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
テーマがずばり「秘密」ですからして、、、
なかなか打ち明けられないもどかしさとか、
本人も迷ってるんだ、とか、
そんなジレンマが表現出来てると良いな、
と思いつつ書いています。
そして、久しぶり更新なので、長くなりました、、、が、
常連の読者様達はこのリリィスタイル、
すっかり慣れてますよね![]()
(*ノω・*)テヘ
(ФωФ)フフフ・・・←なんの「ふふふ」だよ
チャンミンのボディに刺激されて、
わたしの体も勝手に引き締まってくれないかしら。←努力をしろよ
なん頭身かっつーの
オロオロ(゚ロ゚;))((;゚ロ゚)オロオロ
おひとつ
してくださいませ

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