Snowy prince・142「予感」
食事が終わり、僕たちはそれぞれの部屋へ戻って
旅の支度をすることにした。
僕は人間界へ行ったことが無いから、
どんな暮らし方で何が必要なのか分からずベッドに座り、
手際よく支度をするユノの姿をぼんやりと眺めて居た。
ユノはここへ来た時、必要最低限の荷物しか持っておらず
要はそれをまたバッグに詰めれば良いのだし、
元々あちらで生活してたのだから悩む必要もないだろう。
だけど僕は、幼い頃からほぼ城の敷地内にいて
王国の街にさえ滅多に出かけた事がなかったから
人間界なんて未知の国なのだ。
「ユノ、あのさ、」
「ん?、、、ってお前、何にも支度してないじゃん」
「だって、何を持って行けば良いのか、、、」
「まぁ、そうだな、、、必要最低限なもの、としか言えないけど、少なくとも剣とか王の装束とかは要らないな」
「、、、ふざけてるの?(笑)、そうじゃなくって、僕はまともに外に出たことが無いから、、、」
「あぁ、、、初めてここを出掛けた時、結局は賊徒に襲われて、森から出る事なく帰らなければならなかったんだしな」
「外の世界を、何も知らないんだよ僕は。、、、情けない事にさ」
先代の王にしろ、火の国の王にしろ、
僕とは違って何度も外界へ出向き、知識を吸収して
広い視野を持った偉大な方たちばかり。
王国の人々だって、それぞれの役割を果たすために
環境の違う人間界へ出掛けていた。
それに引き換え僕はどうだ。
いくら許されなかったと言っても、
押し切る事もしなかった。
そんな風に思いながら深いため息を吐くと
ユノが少し笑って、足の間に僕を挟むようにベッドに座った。
「、、、チャンミン、よく聞いて」
背中から僕を抱き寄せるユノは、
肩にちょこんと顎を乗せてゆっくりと話し始めた。
「チャンミン、、、物事にはタイミング、ってのがあるんだ。どんなにあがいても、全く上手くいかない時もあれば、大した苦労もせずとんとん拍子に事が進むときもあるだろ?」
「、、、うん」
「お前が今まで人間界に行けなかったのは、きっとこんな風に、俺と出逢って一緒に出ていく為だった」
「、、、、、でも、せっかくあの時ミノと一緒に、」
「だーかーら、だよ。、、、ミノには悪いけど、お前を護るのは俺しか居ない、って事」
「、、、ちょっと自信過剰じゃない?(クスクス)」
「あ、笑ったな(笑)、、、俺たちが結ばれるまで随分遠回りしたけど、全てのタイミングは合ってると思わないか?だからきっと、、、何もかもうまく行く。そんな気がする。そんな気しかしない」
なるほど、、、と思わずには居られなかった。
偽大公によって捻じ曲げられた王国の黒歴史は、
ユノとの出逢いによって全てがクリアにり、
そしてまた、新たなスタートを切ろうとしているのだ。
「ユノがそう言うなら、、、うん、わかった。、、、ところで、本当に何を持っていこうかな」
「お気に入りの服とか、いつもそばに置いておきたいものとか、そんなんで良いさ」
「いつもそばにって、、、ユノが居れば何も要らないけどな、、、」
「はぁーー……そんな可愛すぎる事言ってんじゃないよお前はぁ、、、だめ。我慢の限界」
そう言ってユノは、僕の肩にがくりと顔を埋めたまま動かなくなってしまった。
可愛すぎるのはユノの方だ。
「我慢してるの?(笑)」
「、、、毎晩必死で」
「時間、、、間に合う?」
「間に合わせ、」
「なーーーーーーーい!!何やってんのアンタ達は!」
唇が触れるまであと1ミリ程のタイミングで、
勢いよく、、、いゃ、違うな。
ものすごく乱暴にドアを開けて、怖い顔をしたヒニムが入ってきた。
「、、、チャンミン。これはバッドタイミングだからな」
「(コクコク)」
「ばか!何がバッドタイミングよ!そりゃこっちの台詞!ドアも開けっ放しでよくもそんなイチャイチャ、、、荷造りも済まないのに、子作りしてる場合じゃないんだからね!」
ある意味良いタイミングだと思うけど、
とにかく僕たち二人して、ヒニムに拳骨をくらった。
不意打ちだったせいもあるかもしれないけど、
美しいあの顔に似つかわしくなく、物凄く硬いゲンコツ、、、
「痛ってぇな、、、ったく。言っとくけど、俺、荷造り完璧」
「チャンミンは!」
「あ、僕、、、、」
「やっぱり、、、。君は旅に不慣れなようだから手伝ってあげようと思って来てみたけど、やっぱり正解だった。ユノはダメだね。欲望でイッパイ!!」
「ぶっ(笑)、とにかくごめんなさい、すぐ支度する」
「あ、チャンミン。よほど大事な物以外は要らないよ。洋服とかは向うで全部揃えてあげるからね」
「そうだな。資金はあるし、身軽な方が良いから必要最低限で」
とは言うものの、実際に僕が荷物を詰め始めると、
ふたりとも僕の意見を無視して、
あれもこれもと勝手に物色して次々に鞄に投げ入れた。
正直、要らないと思うようなものばかり、、、、
パジャマとか、枕とか。
「いつもこれ着てるから安心するだろ?」
「え、、、あぁ、、、そうだね(笑)」
「枕変わって眠れないと可哀想だから、これもね」
「ん、、、ありがと(笑)」
過ぎる程優しいふたりにお手伝いしてもらって
結局鞄ははちきれそうになってしまったけれど
これで正真正銘、準備万端だ。
洋服を着替え荷物を背負い、母からのジュエリーと地図を持って、
僕たちは城の玄関ホールへと降りると、
ホビットや妖精、ヒニムの猫たちが勢ぞろいしていた。
「、、、僕たち、そろそろ行くよ」
「みんな、留守を頼みます。必ず成功させて戻るから」
ーーー信じてます。、、、先生。これをあんたに預けるよ
「ん?俺に、、、」
ホビットがユノに手渡したのは、きれいなガラスの小瓶だ。
よく見ると、中には小さな粒が幾つも入っている。
ーーーこれはさっきも言った疑似の実だ。あんたは要らないと言ったけど、外国の言葉もすぐに習得出来るし、もし病気や怪我をしてすぐに治したい時にも使えるんだ。医者のアンタが持ってると良い。
「そうか、、、そんな使い方もあるんだな。よし、預かるよ。ありがとう」
「それにしてもよくこんなにたくさん、、、、疑似の実は作るのがとても大変なのでしょう?」
ーーー気にしないで下さい。また作れば良い事です。皆さんがお戻りになられるまで、こちらではたっぷり時間があるんですから。
ーーーそうそう。オレ達の事は心配要らねーです
「、、、ねぇみんな、、、猫ちゃん達と仲良くしてあげてね。猫ちゃん達、僕が戻ってくるまで元気でいるんだよ」
ーーー心配すんなって
「それじゃぁ、、、行ってきます」
「行ってくる」
ーーーいってらっしゃい!ご無事を祈ってます
みんなに見送られて王国を出発し、
あの日、僕とユノが出逢った場所へ辿り着いたのは
数時間も歩いた頃だった。
「ここだ。、、、この茂みの向こうの木」
「ユノが現れた場所」
「それじゃ、その木まで行ってみよう」
つづく
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
こんにちは(*^-^*)
久しぶりのSnowy~
ユノとチャンミンが出逢ったときとか…
めちゃくちゃ最初の頃の話しじゃん
懐かしいわ←
さて
灯油が切れたから、ひとっ走り買いに行って来なくっちゃ。
それではまた(;_;)/~~~
懐かしいMISSHAを貼ってから行こう←
MISSHA良かったよね~…しみじみ
いつもお付き合い下さり、ありがとうございます
(*´▽`*)
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