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Snowy prince・130「始動」
僕たちはヒニムの自信の根拠を知らなければならなかった。
ユノだってずっと人間界で暮らしてきたけれど
芸能活動などとは縁のない生活だったし
僕に至っては、Snowyにもメディアや芸能界が在ったものの
それはあくまでも大衆向けであって、王族が絡む事など
有り得ない環境だった。
つまり、未知の世界というわけ。
華やかな世界に興味がなかった訳じゃ無いけど、
それがSnowyでならともかく、人間界でデビューするとなると話は別だ。
「なぁヒニム。俺はずっと人間界で生活して来て、ある程度の知識があるからこそ言えるんだけど、そう簡単にはデビューなんて出来ない。仮に出来ても、売れる保障なんてないんだ」
「もちろんわかってるさ。僕だって安易にこんな事言ってるんじゃないよ」
「では、ヒニムのその自信は一体どこから」
「、、、ユノを探して何度も人間界に出掛けてたって話したでしょう?長い時にはこっちを半年くらい留守にして向うで暮らしてたけど、何しろ働かなくちゃ生活費が底を突く」
「まさか、あっちで働いてたのか?」
「そう」
「いったい、どこで何をして、、、」
「鈍いな、まったく(笑)、、、芸能人として、だよ」
「、、、詳しく教えて」
「僕はKoreaという国でキムヒチョルとして生活し、デビューしてたんだよ。つまりさ、、、」
ヒニムの話しは実に大胆不敵で面白いものだった。
ちゃんとオーディションを受けて芸能事務所に入ったというのだから
彼の度胸は並みの物ではない。
そして、まさしく彗星の如く現れたヒチョルは瞬く間にスターへと昇りつめ
世界中にその姿と名前が知れ渡ったのらしい。
「ヒニムはハンサムで中世的で不思議な魅力があるし、とても人柄が良いから人気が出るのもわかる気がする」
「、、、あら。よく分かってるじゃない、シムチャンミン。あんたって本当に良い子ね」
「けど、それならヒニムは現在活動休止中、って事?、、、ヒニムは元々所属してるから良いけど、俺たちオーディションを受けてる時間が惜しい。だって、一度で合格しなかったら何度も受けなくちゃならないだろ」
「大丈夫。僕がスカウトしてきた、って事にすれば平気。ビジュアルは完璧だから、あとは寝る間も惜しんでレッスンに励む事ね。僕もつきっきりで教えるから」
「簡単に言ってくれるな~(笑)寝ないで練習しろだって」
「それにしても、、、ヒニムを同行するのは気が引ける。どちらにしろ、また長い間ここを留守にする事になるし」
「まぁ、世界的トップスターになるには下積みも必要、、、けど僕は君たちを3年で育てて見せる」
「向うの3年はきっとすごく長く感じるだろうね、、、」
「ま、、、どちらにせよ両陛下が君を後継ぎにと選んだなら、僕は用無しなの。だから気にしないで(笑)」
「、、、ヒニム」
、、、彼の本当の気持ちが見えた気がした。
彼の底抜けの明るさは、ある意味自己防衛だ。
辛い現実から目を背けているのではなくて、
全てを受け入れた上での振る舞いなんだ。
今の環境からいつどのような変化が起きたとしても
無理なく「必然」だとして対応できるよう、
過度な期待を持たないように努めているという事。
ユノを探す行為を続けていたのは、
自分の心が「欲」に支配されないためにだったのかもしれない。
もちろん、「家族」を望んでもいただろうけれど。
「なぁヒニム。俺、さっきも言ったし何度も言ってるけど、王位は、」
「良いのイイの。そこはまだ言わなくていい。明日の夜結果が出て君もスッキリして、それからよく考えると良い。ただ僕は、Snowyの復活にはこのアイデアが一番効果的だと思うから提案しただけ」
「ユノ、、、どう思う」
「俺はSnowyが復活する可能性のある事ならなんだってする。、、、DNA鑑定で俺の身元がどうであっても、ちゃんと考えるから心配しないで」
「ユノ。結果に関して嘘はつかないでね。約束して」
「わかってる」
僕たちはその後も、色んな事をたくさん話し合い
気が付けばもぅ夜明けが近かった。
目の回る様な一日を過ごして疲れていた僕たちは、
お酒の力も手伝って、そのままそこで寝入ってしまった。
翌朝はまた早起きのヒニムにたたき起こされ、
急かされるがままに朝の行動全てを指示通り済ませて
朝食はヒチョルシェフ特性の、見事なエッグベネディクト。
束の間の優雅なひと時を味わって、僕達は再び城に向かう。
車に乗る前、ヒニムがふと足を止め、ユノの肩を叩いて言った。
「今日はユノにとっても、僕達にとっても"運命"の日だね。、、、まぁ、結果なんて既に分かりきってる事だけどさ。ユノにとっては医学的根拠がすごく重要なのよね」
「自分が何者なのか揺るぎない事実が明らかになれば、心の片隅に貼り付いてる不安や蟠(わだかま)りが取れるから…」
「そう、、、そうだよね。分かるよ。その気持ち」
難しい身元に産まれたふたり。
寂しさを羽織ったような微笑みを浮かべてた。
「よし!行こっか!あ、チャンミン今日は覚悟しといた方が良いよ。王妃様ってほっとくとずーーーーっと喋るんだからさ」
「(笑)、それはとっても楽しみ。王妃様が退屈なさらないようにお相手しなくちゃ」
つづく
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
ちょっとお久しぶりのSnowy(*^-^*)
寒い夜、ブランケットにくるまって寝る前の読書的に
読んで頂いたり、通勤の電車やバスの中、
休憩時間、おやつタイムに、ちょちょっと読んで頂けたら
嬉しいな、と思って書いています。
年内で完結するな、これは。
常連様から何度も言われてるんですが、
Snowyが終わったら、かきかけのまま放置の
「輪廻」を書こうかな、と思ってる、、、
んでーーすーーがーーーー
下書きのメモがどこ行ったか、、、
アレが見つからないと書けんかもしれん、、、
ヤバいわ~
どうしよ、、、( ̄ー ̄;
とりあえず明日、
ヒトカラにでも行って考えよう←いゃ、探せよ!(°д°;)
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