Snowy prince・96「旅立ち」
閉鎖宣言の日から昨日まで、
公務の一環としてではあるけど、僕は礼儀のひとつと考えて
毎日「王の装束」という正装をして
国民と面会をしてきた。
そして今日は閉鎖式当日で、
僕にとって最後の公務、最後の務めだというのに
今日に限って着なくていいと言う。
「ミノ。どうしてこんな大事な日に正装しなくても良いと言うの?理由は?」
ミノは僕の質問に対して直ぐには答えず、
なにやらニヤニヤとして、いやらしく両手を擦り合わせながら
僕とユノの周りをゆっくりと歩いた。
「ちょっとミノ。、、、やな予感しかしないんだけど。」
「なんだよそれ。人聞きの悪い。」
「だって、昔からその顔する時は、ロクな事言わないじゃん。」
「(笑)、そうなのか?」
「あっ!ほら!、お前が変な事言うからユノ先生まで!」
「じゃぁなんだよ、ちゃんと言えって。」
するとミノは一旦廊下に出て行って、
本来なら朝食を運んでくるはずのワゴンに
大きくて平たい箱を二つ載せて運んできた。
「これだよ、こ・れ。さて、なんでしょう(笑)」
「、、、んー、ちょうどスーツが入るぐらいの大きさ?だな。」
「ピンポン!さっすがユノ先生!」
「え!?スーツ??」
「そ。今日、絶対にこれを着てほしいと思って、大急ぎで誂(あつらえ)たんだ。婚姻を結ばれたお二人へ、僕からの、せめてもの贈り物。」
「あぁ、、、ミノったら。、、、、ごめん、さっき僕、すごく失礼なコト、」
「ぷ(笑)気にしてないし。それよりもこれ、、、受け取ってくれる?」
僕はとても嬉しくて、心から有難くて、
ミノに飛びつく衝動を抑えられなかった。
「うわっ!!、、、ンだよ、もぅ(笑)びっくりした(笑)」
ありがとう、って言いたかったけど
口を開けば涙が出てしまいそうで、
僕は何も言えずにただ、ミノの肩に顔を埋めた。
きっとミノも同じ気持ちだったと思う。
最初は僕の背中をぽんぽんと叩いて笑ったけれど、
直ぐに黙り込んで頭をコツンとくっ付けたままだったから。
けど、しっかり者のミノはいつも、僕より先に場を立て直すんだ。
今だってほら、グイと体を引き離して
いつもと同じ笑顔で世話を焼くんだもの。
「子供みたいでおかしいな~(笑)グズグズメソメソしてないで、ほら、着替えて。」
「泣いてなんかない、、、」
「、、、(笑)、あぁ、もぅ。ユノ先生も座ったままだし!何してんの、呑気だなぁ、、、ったくもぅ。」
「あは(笑)、、、、ミノ、本当に色々ありがとう。」
「あ~、照れるからそれ以上はストップ。ほら、着替えますよ!二人とも早くして!」
「あぁ~、痛い!そんなに腕を引っ張ったら肩が抜けちゃう!」
「ユノ先生も!早く!」
「わかった、わかった(笑)」
感傷的になるのはガラじゃない、と言わんばかりに
ミノは僕たちを喧しく急かす。
だけど、
その大きな眼の端が少し光った事、
胸の中にしまっておくよ。
そして僕たちは、ミノから贈られたスーツを
早速着せてもらう事にした。
「ミノ、、、これ、」
「うん、、、そう。二人、お揃い。」
「なんて、、、なんて素敵なんだろう、」
一寸の狂いもなく見事な仕立てで
僕たちの体にぴたりと沿い、とても着心地が良い物だった。
「チャンミン、、、。今日、みんなの前で俺たちの事、、、公表しよう。」
「、、、それってつまり、」
「そう。婚姻の、、、公式発表だ。」
つづく
゚・*:.。..。.:*・゚゚・*:.。..。.:*・゚
残暑お見舞い申し上げます


アクセス、イイね、コメント、メッセージ、
いつもありがとうございます♪
やはり、みなさんの反応があるということは
とても嬉しく、心強くもあり、
有難い気持ちでいっぱいになります


ありがとう~

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