写楽の最有力候補「阿波蜂須賀藩お抱えの能役者、斎藤十郎兵衛」をまさかここで出してくるとは!

生田斗真さんが治済と斎藤十郎兵衛の二役を、同じ顔でも別人だと視聴者にはっきり伝わるように演じわけていて、凄い役者さんだと改めて感心しました。

そして!
随分前の回で、柴野栗山が初めて治済に会ったとき、驚いた様子で言葉が出なくて
「ご尊顔に思わず見惚れてしまいましてございまする」
と取り繕い、治済が
「顔はなぁ」
と言っていたのを思い出しました。本当に顔はいいのよねと笑ったけど、これが伏線だったのですね!

最大の傀儡であった実子の家斉を、治済の毒殺ならぬ眠り薬を飲ませる策に参加させるすごい展開でした。
落語の「饅頭怖い」のオチ「今度は苦いお茶が一杯怖い」で回収するのは、お見事!
大崎が家斉の乳母だったことを忘れていたけど、治済が使う毒殺実行犯が大崎であることの必然性もわかりました。
毒を警戒して、家斉をしっかり毒味に使う治済は、もう孫が生まれているから、次の傀儡に困らないとでも思っていたのでしょうか。

少し前の回で、治済が「俊寛」の面を顔に当てていて、何か意味があるのだろうと思いつつ、考えつかなかったけど、阿波の孤島に流される暗示だったようです。
断われるわけがない替え玉を押し付けられた能役者の十郞兵衛は、治済の能面コレクションを見て喜んでいました。能舞台も装束もしっかりあるから能三昧の生活を過ごすのだろうと思えました。

定信が白河に帰る前に、耕書堂を訪れ

「いキちキどコきキてケみキたカかカったカのコだカ(一度来てみたかったのだ)」

と言っていました。素直になれない照れ隠しかと思っていたら、すぐに「金々先生」からずっと読んでいたことを明かしていました。春町が『金々先生栄花夢』で使っていた言葉遊びであることを蔦重に気づかせ、黄表紙を次々手にしながら
春町は我が神、
蔦屋耕書堂は神々の集う社であった。

あの事は我が政、唯一の不覚である。上がった凧を許し、笑う事ができれば、すべてが違った。

と素直に言葉にしていました。

蔦重と一緒にしみじみしていたら

今後は随時よき品を身繕い、こまめに白河に送るよう

抜け目ない商人に千両もとられたゆえ、倹約せねばならぬ。

と最後にまた定信らしさを見せていました。

この後、名君となるとともに、九郎稲荷曰く「硬軟揃えたオタク」になるそうです。