【さらば千葉の誇り ~桃色行脚'19~】 | 監督のささやき戦術

 今年もまた、秋風とともに別れの季節がやって来たプロ野球界。

 去り行く名選手のひとり、一時代を築いたバットマンの最後の雄姿を見届けてきた、先日の月曜日の話をさせて頂く。

 

 

 やって来たのはZOZOマリンスタジアム。この日の主役はもちろんこのリビングレジェンド。

 マリーンズ一筋26年の現役生活にこの日ピリオドを打つ、千葉が生んだ安打製造機、福浦和也選手である。

 

 チケット大争奪戦となったこの日のマリンに潜り込めたのは、マリーンズファンの常連様の『フィールドテラス・スイート』での団体観戦に、4年連続でお誘い頂けたという僥倖の賜物。

 例年その団体観戦の日程が絶妙なおかげで、2016年のサブロー選手2017年の井口選手に続き、この4年間で三度目の引退試合観戦をさせて頂けることになったのである。マリーンズファンでもないのに……。

 

 

 スコアボードの上に翩翻とひるがえる、「9」の旗。

 ひょっとして、井口選手の引退試合の時の「6」の旗を逆さにして再利用…?などとくだらないことを考えてしまう。

 

 井口選手の引退試合の時と同様、この試合では全員が背番号「9」のユニフォームを着用。

 しかも全員が福浦選手の代名詞とも言えるストッキングの「クラシックスタイル」着用のおまけつき。おかげで本人を探すのに若干難儀する。

 

 見分け方は、「背ネームが入っているのが本物」

 

 あ、でもなぜか…

 マスコットの鳥たちが着ているユニフォームには、背ネームが入っていた…。

 

 井口選手引退試合とちょっと違ったのは…

 あの時の指揮官、伊東監督はいつもの自分のユニフォームを着ていたのだが、この日の井口監督は皆と揃いの背番号「9」を着用

 自分がしてもらった最後の花道の演出を、今度は指揮官としてしてあげたい、という思いだったのか。

 

 

 福浦選手の出場2235戦目となる現役最終戦は、7番DHでのスタメン。

 

 もちろん球場は福浦選手への声援一色であった。

 そういえば、井口選手引退試合で配られたボードは巨大なお面だったが、この日の福浦選手ボードはサイズが半分でお面機能もなし

 やってみて、「あれやっぱりちょっと怖いな…」となってやめたのだろうか…?

 福浦選手の巨大お面、欲しかったのだが…。

 

 チケットはなくとも最後に福浦選手と同じ空気を間近で吸いたいという熱心なファンの皆様が、球場外のパブリックビューイングに集結。

 その多さに、福浦選手の愛され方をまざまざと見せつけられる。

 

 25年間で2000本の安打を積み重ねた福浦選手の、26年目の最初で最後の一軍公式戦。

 結果はご存知の通り、4打席立って、残念ながらノーヒット。

 7回裏先頭打者で回ってきた第4打席のキャッチャーフライが、現役最終打撃成績となったのだった。

 

 安打製造機としての活躍は言わずもがなだが、守備でも名手だった福浦選手。

 最終回に、慣れ親しんだマリンの一塁キャンバスの最後の守備につく。

 

 打つ方では最後の快音を聞くことはできなかったが……

 横っ飛びで捕球した強烈なファーストライナーがこの試合27個目のアウトとなり、自らの引退試合のウィニングボールを自ら掴み取った福浦選手。

 本人にはまったくそんなつもりはなかっただろうと思うが、これは打者平沼選手の大ファインプレイであろう。

 

 試合はの方は、福浦選手を敬愛する若き選手たちの活躍で、6-1でマリーンズ快勝。それにより……

 福浦選手の音頭による、選手全員での勝利の「We Are」が実現。

 実は8月のここZOZOマリンでの二軍戦の際にもあった、福浦選手の「We Are」。その際に「最初で最後」と言っていた福浦選手だったが、引退試合に勝利したおかげで「二度目で最後」の「We Are」も見ることが出来、すこぶる得した気分になる。

 

 相手チームのファイターズの、今季限りでバットを置く選手にも、ささやかなセレモニーが。

 北海道移転後のすべてのリーグ優勝、日本一に貢献した田中賢介選手。福浦選手とともに長くパリーグを支えた名プレイヤーに、マリーンズファンからも温かい声援が送られたのだった。

 

 そして日が傾き始めた試合後のフィールドで、福浦選手の引退セレモニーがスタート。

 現役生活の軌跡をたどる映像に、かつての同僚やライバルたちからのビデオメッセージと、ファンにも仲間にも愛された福浦選手の26年間を、改めてしみじみと振り返る。

 

 ビデオレターにいないな…?と思った先代ミスターマリーンズ初芝さんは、花束贈呈で登場。

 

 最後のフィールド一周にファンから愛を込めて投げられたのは、今回は紙テープではなく紙吹雪だった。

 試合前から一日中吹きすさんでいた強風が、この舞台のための演出だったのではないかと思ってしまうほど、それはそれはとても幻想的で美しい光景であった。

 紙吹雪作った皆様、あとで掃除した皆様、本当にお疲れさまでした。いいもの見せて頂きました。

 

 最後の胴上げで背番号と同じ9回宙に舞って、福浦選手の引退セレモニーは終幕。

 

 同世代であるため、自分の意志とお金で球場に足を運べるようになった20年ほど前から、マリーンズ戦を見に行けばいつも当たり前のようにそこにいた、長い長い付き合いの福浦選手。

 来季からはもう見られないという事実がまだ全然実感を伴わないが、きっとあとからじわじわと寂しさがこみ上げてくるのだろう。

 パリーグが、マリーンズが今から考えれば信じられないくらい人気がなかった時代から、長らく活躍を続け、リーグとチームを支え続けた福浦選手には、一野球ファンとして心からの敬意と感謝を捧げたい。

 26年間、本当にお疲れさまでした!そして次のステージでの活躍を心より祈念しております!

 

 余談だが、個人的にわりと感慨深いものとなった、今回の福浦選手の引退。なぜかというと、福浦選手(と同い年のジャイアンツ上原投手)の引退をもって、ついに球界に自分より年上の選手がいなくなってしまったからである。

 子供の頃は「おじさんたち」、社会に出たころは「お兄さんたち」、アラサーくらいの頃には「同世代たち」がやっていたプロ野球が、いよいよ「若者たち」のものとなった事実(もう結構前からなっているが…)に、自分の老いをまざまざと突きつけられたようで、ささやかながらもなかなか衝撃であった。

 今のところ引退も自由契約もささやかれおらず、普通に主力として試合に出ているのでとりあえずまだ来季は大丈夫そうな「同い年選手」最後の砦、タイガース福留選手には、末永くユニフォームを着続けて頂きたいと願っている。

 

 

 ありがたいことに、体が動く限りは現役を続けられる居酒屋稼業。引退を強いられるとすれば、それは店がつぶれた時であろう…。

 生涯現役を貫くべく、細くとも長く存続してゆきたいと願う当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。