【信州一の野球場 ~桃色行脚'19~】 | 監督のささやき戦術

 味噌の話ではない。あれは『神州一』だ。

 まだ見ぬ未踏の球場に誘われて、山々に囲まれた海なし県へと遠征してきた『海の日』の話をさせて頂く。

 

 

 東京駅からの北行きの新幹線といえば、だいたいいつも『はやぶさ』か『やまびこ』なのだが、この日乗り込んだのは普段あまり馴染みのない『はくたか』。

 新幹線に揺られること90分、降り立ったのは長野駅。そこからシャトルバスに乗り換え、かの有名な川中島古戦場の脇を通り過ぎておよそ40分でたどり着いたのはこの球場。

 秋田名物ババヘラアイスを想起させる独特な外観を誇るのは、全国有名地方球場のひとつに数えられる長野オリンピックスタジアム

 ちなみにモチーフはもちろん他県名物のババヘラアイスなどではなく、桜の花だそうである。

 

 正式名称は長野市営南長野運動公園総合運動場野球場という、いかにも公営の地方球場然としたものだが、建設計画と1998年の長野オリンピック開催がうまいこと重なったことにより、野球場として完成させる前に五輪開会式・閉会式会場としてまず建造。五輪終了後に改めて野球場へと改修(2000年3月開場)されたという経緯もあって、IOCに許可を得たうえで、オリンピックスタジアムの愛称を名乗ることになったそうである。

 

 そんなとても面白い来歴を持つスタジアムゆえ……

 こちらの当時スタジアム内に屹立していた聖火台など、公園敷地内にはオリンピックをしのばせるものが多数点在していた。

 

 この日ここで行われたのは……

 開場翌年から数年に一度のペースでここで公式戦を行っているスワローズの、2016年以来通算7回目となる主催試合。対戦相手がジャイアンツだったので、今回は『TOKYO SERIES in NAGANO』ということになった。

 

 こちらが長野オリンピックスタジアムのフィールド全景。

 両翼99.1メートル、中堅122メートルに、内外野全面ロングパイルの人工芝というかなり立派なフィールド。

 

 立派なのはフィールドだけではない。むしろスタンドの威容の方に目を奪われた。

 両翼ポール際まで広がる、2階建てのメインスタンド

 バックネット裏から一三塁ダウアウト上までのエリアは背もたれ付きの独立席、それ以外の内野席と2階席はベンチシートとなっていた。

 

 

 そのスタンドの上層階に上がってみる。

 なだらかな下層スタンドに対して、上段スタンドはハマスタばりの結構な急勾配となっているが、その分前の人が気にならず見やすそうであった。

 このメインスタンド全体の収容人員数は21000名。2階席に屋根がないのが残念ではあるが、同じ地方球場でいえば、倉敷マスカットスタジアム松山坊っちゃんスタジアムクラスのメガスタンド。さすがはかつてのオリンピック開会式会場である。

 

 そのスタンドの最上段では、先ほど外から見たババヘラアイス……じゃなくて桜のはなびら部分がすぐ目の前に。

 間近でしげしげと眺めると、築20年超なりの老朽化の様子がうかがえる。

 

 老朽化の様子といえば……

 スタンド外壁の各所で見られた、垂れ下がる謎の紐状のモノ

 どうやらこれ、コンクリとコンクリの隙間に施されたコーキング材が、経年劣化ではがれてぶら下がってしまっているモノのようであった。ぼちぼち大掛かりな改修が必要な時期に差し掛かっているのであろうか?

 

 

 内野とは一転、外野スタンドは地方球場らしい芝生席

 きれいに手入れされており、なだらかで開放的なこの外野芝生席の収容人員数は9000名とのこと。

 内外野合わせて総収容人員数は30000名という、全国屈指のメガ地方球場である。

 

 球場内に常設の飲食売店などはないが、この日はプロ野球開催日ということでか、飲食、物販のテントがずらりと並んでいた

 飲料も多くのテントで扱っていたのだが、なぜか生ビールを提供していたのが球場外の1か所のみで、球場内には缶ビール(カップ移し替え)しかなく、冷却時間が足りないためか常にぬるかったのが残念だった。

 

 ブルペンは開放型。

 今誰が肩を作っているのかが一目でわかる、神宮同様スタンドの目の前にあった。

 

 横長の独特な形状のスコアボードは、磁気反転式。

 打率やホームラン数の表示欄があるのは、プロ野球観戦時にはありがたい。

 

 18時プレイボールだったこの試合。ゆえにもちろん……

 6基のナイター照明設備を有するこの球場。

 この見るからに立派な照明塔は、図体通りのハイパワーな光量を誇っており、外野の方は多少薄暗かったものの、内野はプロ野球専用球場と比べても遜色のない明るさであった。

 

 夜の帳がおりきってからの球場の姿も、とても美しかった。

 「1分後に離陸します、そして5分後に地球に向けて総攻撃をかけます」と言われても納得してしまいそうな、圧倒的な大型宇宙船感

 約20年前に各国から集まったオリンピアンたちも、きっとこの光景に感動したことであろう。

 

 

 1998年当時の自分自身はというと、まだ大学生だった時分で、その冬は大型スポーツ用品店のスノーボード売り場でバイトしていて、長野オリンピックはもっぱらそこのテレビで観戦していた。

 そのテレビ越しに見ていた地に20余年の時を経てやって来られたことは、とても感慨深い……などということは特になく。というのも、五輪特需でスノーボードが飛ぶように売れて、毎日ひたすらビンディングを取り付けたりワックスをかけたりとめちゃくちゃ忙しく、競技をのんびりとみている暇がほとんどなかったから……。

 長野オリンピックの思い出は特になくても、初めて訪れた地の初めてのメガ地方球場は、野球場マニアとして大いに満喫できたのだった。

 遠路はるばる訪れたこの球場に、思いのほか長い時間いることが出来た、いやいさせられた試合の話は、また次回に。

 

 

 この7シーズンの『桃色行脚』で訪れた野球場は60少々。まだまだほんの僅かであり、日本中にはまだ見ぬ未踏の球場が山のように待っている。

 自軍本拠地をより良くするためのよその球場視察に余念がない当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。