多少の雨もまた屋外球場観戦の風情、なんてのんきなことはまるで言ってられない、わりと苛烈な環境のもとで観戦してきた、日曜日のゼットエーボールパークの試合の話をさせて頂く。
観戦に足を運んだのは、ロッテ二軍浦和マリーンズの千葉県内主催試合のひとつ、市原市のゼットエーボールパーク2連戦の2試合目。
横浜DeNA二軍の横須賀ベイスターズを迎えての、16時プレイボールの薄暮ナイターであった。
試合前の球場外のイベントにて。球団HPのイベント情報には『マーくんファミリー』が来ると書いてあったのだが、いたのはマーくん1羽と、謎のマスコットのみであった。
ひょっとしたらこちらが把握していないだけで、新しいマーくんファミリーの一員なのかと不安に思って調べてみたところ、どうやら『オッサくん』という市のマスコットらしい。頭に皿みたいなのが乗ってるので河童かと思ったのだが、ウグイスだそうである。
そのダンスイベントなどが行われてた開門前の時刻はまだ空は明るかったのだが、開門直前に一気に暗くなり、そのうちわりと大粒の雨が落ちてき始める。
当初は「そのうちやむだろう……」と楽観視していたのだが、時間帯によって強まったり弱まったりはあったものの、雨そのものは一向に上がる気配もなく、試合開始を迎える。
運よくバックネット裏の屋根の下の席を取れたのだが、すぐにそれが何の意味もないことを思い知らされる羽目に。実はこの試合最大の脅威は、雨ではなかった。
試合前から、試合中もずっとこんな状態であった、スコアボードの上の旗。
正式名称を『市原臨海球場』というだけあって、かなり海に近い位置に建っているここゼットエーボールパーク。海を背にして建つ格好になっているため、外野からホーム方向、現地で体感した中の詳細でいえばライト外野から三塁側内野スタンドに向けて、湿気をたっぷり含んだ海からの強烈な風が四六時中吹きすさび続けていたのだった。
そんな嵐のごとき風雨を、ご覧のようなささやかな屋根が防ぎきれようはずもなく、屋根の下もそれ以外も、まんべんなく均等にみなびしょびしょに……。
仕方がないので一塁側の一番端っこで、可能な限り風雨に背を向けつつ(それでもしとどに濡れることとなったが……)試合を眺めることとする。
そんなバッドコンディションの中、定刻の16時にプレイボールがかかった試合。
浦和マリーンズの先発は左の土肥投手。
横須賀ベイスターズの先発は2年目の阪口投手。
どこに行ってもやはり目が行くのは、かつて我がご贔屓イーグルスに在籍していた選手。
移籍2年目の今季はなかなか一軍から声がかからない中川選手。上での再会を心待ちにしている。
試合の趨勢とは関係ないことだが、ゲーム序盤に生まれた『大河VS大河』のクロスプレイというささやかなドラマに、一人スタンドでテンションを上げる。
思えば試合開始直後のこの頃は、雨とは言えまだ全然元気だったのだが、やまない雨と風にどんどんライフのゲージを削られて、試合が進むに比例して失われてゆく元気と集中力。
試合前半は途切れることなく雨が降り続け、強風が吹き続けていたにもかかわらず、幸いなことにそれによる試合中断などはなし。
ロースコアのゲーム展開だったわりに進行が遅かったのは、6回を投げて奪三振7ながら被安打も7だった土肥投手と、5回を投げて被安打はわずか2ながら与四球6だった阪口投手の、両先発の荒れっぷりによるものが大きかった。
本拠地ZOZOマリンもびっくりのあの強風+雨の中では致し方あるまい。ちなみに失点はともに1点のみであった。
雨は18時前には上がったものの、試合は膠着状態が続く。
続々と脱落者が出て閑散としてきたスタンドが一番盛り上がったのは、この男の名が告げられた場面であった。
8回に代打で登場した、今季がラストイヤーとなる福浦選手。
市原での現役最終打席は残念ながらセカンドゴロに終わったが、残っていたスタンドの熱心なファンからは、熱い声援が飛んでいた。
スタンドからの声援と言えば、マリーンズファンから温かい拍手で迎えられていた、横須賀ベイスターズのこの投手。
かつてマリーンズに在籍していた中後投手。
ユニフォームが変わったとて、元贔屓の選手の元気な姿を見られて嬉しいのは、やはり皆一緒のようである。
試合は9回が終了した時点で1-1のタイスコア。
延長に入ることになったのだが、この時点で既にプレイボールから3時間半。
風雨に長く当たり続けた結果、ライフのゲージもゼロに限りなく近づいており、これ以上付き合っては風邪をひきかねないと判断し、決着を見届けることなくここでゼットエーボールパークを後にしたのだった。
結局試合は延長10回表に勝ち越した横須賀ベイスターズがそのまま勝利した模様。
何度も触れた通り、なかなか過酷な環境の一戦ではあったが、喉元過ぎれば熱さ忘れるタイプなので、帰りの道中ではもう、初めての球場でのちょっと変わった観戦が出来たことに十分過ぎるほど満足していた。
雨にも負けず風にも負けず、今後もせっせとあちこちの球場に出没して回りたいと思う。
不安定な天候が続くこの梅雨時。ビルが倒壊しないレベルの風雨であればしのげる当スタジアムへの皆様のご来場を、引き続き心よりお待ちしております。