とりとめの無い話、記憶。

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 もう45年位も前の話。世間では吉永小百合と浜田光男の純愛映画が流行ってたころの出来事。舞台は茨城県日立市のなんてこともない国道沿い。季節は秋で、時刻は夕暮れ。僕は高校を出たばっかりで、その界隈の電話局に勤めていた。帰宅時のバスの中。ぼんやり外を見ていた時のこと。仕事も対人関係も駄目で、充実した人生とは言い難く、僕は僕自身のどうしようもない変わった生い立ちや変った性格で屈折した毎日を送っていた時のことしょぼん

 そんなある日の夕暮れ、ほんの一瞬、バスから降りる小柄な工員風の若者と、それを待っていた女性を見た。女性は停留所で文庫本を読んで待っていた。二人とも多分20代のはじめくらいだったと思う。二人ともいかにもシャイな感じで、はしゃいだ雰囲気はまるで無かったが、そこだけが浮き上がって見えた。携帯全盛の今では先ずありえない光景。二人の交わした会話は知るすべも無く、その後、二人が何処へ行ったのかも知るすべも無いが、今とは違って、安直にセックスをしない時代だったから、多分食事でもして映画にでも行ったのかな。手は握ったのかなーなんて、そんな妄想アップがいまだによみがえる、とてもとてもうらやましかった光景。なぜ、いまだ鮮明によみがえるのか不思議だけど。多分、静かな中にも熱いものを感じたからだね。それと、その女性が本から目を離して見上げたときの表情が素敵だったからだと思う。細身だったと記憶するし、恥じらいが漂ってたね。それと清潔感があったね。いまのこの時代には先ず見かけないし、ありえないカップルだったね。僕はまるで女性に縁がなかったが、理想は高かった。スクリーンの吉永小百合だったものね。

 そして今年の桜の季節。舞台は桜満開の目黒川界隈。若いアベック(古いかはてなマーク)達がそれこそ「飲んだり、食ったり」してたけど、その中に相手の男性そっちのけで鏡ばかり見ている女性あり。それも20センチ角のでかい鏡で、タバコもくわえてた。当然ブス。顔の造りは仕方が無いが、表情が最悪。何だかんだ言っても豊かでワガママ横行の時代だから、リアルタイムでその人間の性格が読めてしまうが。僕はもう呆れてしまって、余り頼りの無さそうな、加えて、大人しそうな男性に「こんなのやめたほうがいいよ」って言いたかったけど、余計なお世話だから止めた。第一、「田んぼで食う虫も好き好き」といったことわざもあるからね。あの鏡も可愛そうだった。あんなひどい顔を延々と映さざるを得ないのだから。