かなり間が空いてしまいましたが、強調構文の続きです(その1のリンクはこちら→リンク
)。
今回から強調ということを見ていきましょう。
私はことばを分析する研究をしています。
そのときに、ある語の役割として「強調」が使われることがありますが、大事なのは、「なぜ強調しなければならないのか」という点です。
(  ̄っ ̄) よくわからないんだけど、強めるんだからそれでいいんじゃないの?
では、日本語で例をとりましょう。次の2つの文はどこがちがいますか?
1.私はしむらです。
2.私がしむらです。
(  ̄っ ̄) 「は」と「が」がちがうね。
いやいや、意味のちがいです。
「は」と「が」のちがいについてはいろいろな研究者が論じていますが、こういう単純な文についてはいちおう解決しています。
わかりやすくすると、1は「あなたは誰ですか」、2は「誰がしむらですか」の答えです。
(  ̄っ ̄) ああ・・・そうね。
「私はしむらです」では、「しむら」が新しい情報になっています。「私」はすでに相手に認識されています。
「私がしむらです」では、「私」の部分が新しい情報です。「しむら」という人物がいることはすでに相手に認識されていて、それが自分であるという場合に使います。
実際、「私はしむらです」では「しむらです」の部分が強く、「私がしむらです」の場合は「私が」の部分が強く言われるはずです。
(  ̄っ ̄) 強調されるわけね。
そうです。「新しい情報」だから強調されるわけで、強調というのはあくまで結果なんです。
だから、こういったかたちでは、正確に言うと、新しい情報だと示す役目をしています。便利なのでふつうは「強調」という用語を使っているだけです。
新しい情報だと示す方法はいくつもあります。
たとえば、その部分だけ言うのもその1つでしょう。
(  ̄っ ̄) その部分だけ? そんなことできる?
たとえば、Who are you?と聞かれたときに、I am Kate.と言ってもいいし、Kate.だけでもいいでしょ。
(  ̄っ ̄) あ、そうかぁ。
それから、「その部分を強く言う」というのも方法です。「私は」と「私が」のところでさっき見ましたね。
(  ̄っ ̄) そういえば、「次の文で強勢のあるところを示せ」みたいな問題がセンター試験にあったね。
センター試験を受けたことがある人にはわかるかもしれませんね。
あの問題は、ようするにどこが相手にとって聞きたい情報か、つまり新しい情報かを指摘する問題です。
また、動詞の場合は、助動詞のdoを使う方法があります。
昨日買った本を読んでいるときに、「その本借りたの?」と聞いてきた人に対して、
I did buy it!「買ったんだよ!」
と言うような場合です。
(  ̄っ ̄) 習ったことあるなあ。
そして、強調構文。
(  ̄っ ̄) 出た!
英語では、大事な情報は前に出す傾向があります。
否定語を前に出して、文の語順が替える、倒置(とうち)がそうですね。
Not a single word could I hear.
「ひとことも聞こえなかった」
といったかたちです。
この場合、not a singleでセットなので、否定語だけでなくて、目的語も一緒に前に出ています。
(  ̄っ ̄) はいはい。否定語なんかが文頭に出て、疑問文の語順になるというやつね。
疑問文の順番になるというか、疑問詞を使う疑問文がすでに倒置なんですけどね。
What are you doing?は、目的語のwhatが文頭に出て、疑問文の語順になった・・・・・
(  ̄っ ̄) 疑問文が疑問文の語順とか、意味わかんないよ。
半分冗談です。
ところで、文章で自分の強調したい部分があったらどうしますか?
文章だから強く言うわけにいかないし、その単語だけ書くわけにもいかない、下線や太字を使うとちょっとかっこ悪い、じゃあ・・・・
(  ̄っ ̄) あ、わかった。だから強調構文なのか! 大事な部分を前に出すためにあるんだね。
そうです。
では、次回、もういちど強調構文についてくわしく考えましょう。