【満月】2022蠍座満月★決して誰も否定することはできない | ***Walk on the light side

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銀河に煌く星たちのように

2022年5月16日13:13に蠍座の満月ですさそり座


5月の蠍座満月はお釈迦さまの誕生・成道・涅槃があったとされるウエサクの満月ですね。

 

太陽は牡牛座に、月は蠍座にあって、ぴったりと向き合っていますが、牡牛座を支配する金星は愛や美と関連するだけでなく、悟りやスピリチュアル・マスターとも関係します。

 

黙示録のなかでイエス・キリストは『明けの明星』という名で記されていますし、お釈迦さまはその明けの明星と共に悟りをひらいています。弘法大師空海も金星が口の中に飛びこんできて、悟りに至ったとされていますね。


そのようなマスターたちの意識の上昇と金星がどう関わっているのか…?ということを探求してみると、実に蠍座の満月っぽいな~と感じることがあったので、ご紹介したいと思います。

 

 

金星は愛と美の女神アプロディーテの象徴。その誕生神話は天王星ウラヌスが世界を支配していた時代にさかのぼります。

 

大地の女神ガイアから誕生したウラヌスは、毎日ガイアのもとへやってきて、交わり続けました。しかし自身の王位を脅かされることを恐れたウラヌスは、生まれた子どもをガイアの子宮に押し戻し続けます。

 

その苦しさに耐えられなくなったガイアは、子どもたちに協力を求めました。それに応じたのが末っ子のクロノス(土星)です。

 

クロノスはいつものように父が母と交わりにやってくるところを待ち伏せると、父ウラヌスの性器を鎌で切り落とし、去勢しました。性器が海に落ちて、その泡から誕生したのがアプロディーテ。そしてその傷から大地に血が滴り落ちて生まれたのが、エリニュスという報復の女神です。

 

アプロディーテの誕生と同時に、報復の女神が生まれたって、牡牛座と蠍座の対のようではないですか?

 

愛と美の女神アプロディーテが象徴するのは、命からあふれ出す自然な愛と魅力、憧れ、その欲望です。それは誰にも止められるものではないし、否定してはならないものでもありますね。

 

一方でウラノスの命からあふれる欲望が、去勢されることで生まれたのが報復の女神です。それは、どんな理由であっても、自然とあふれ出す個人の愛や魅力や憧れや欲望の表現を止めたり、否定したりすると、報復に遭うよ、ということでもあるんですね。

 

実際に世の中は古今東西、愛や欲望を否定したり、拒否されたりすることで発生する復讐の愛憎ドラマがあふれています。

 

この牡牛座と蠍座……アプロディーテとエリニュスの意味するところとして、私たちが人と出会い、関わり合い、愛し、愛されて、お互いに求め合い、尊重し合う、その命の営みは止められないのだという感じがします。

 

出会って、惹かれて、関わり、愛し合うというものは、いつも良いことばかりではなく、苦しみや葛藤もつきものですね。

 

それは深く関わることで、相手の内に見たくなかったものを見ることになるから。秘めているもの、隠してきたもの、受け入れ難いもの……これは自分の内にあるもので、同時に自分で表現していない、自身の一部。それを見せられると苛立ち、避けたくなり、正したくなったり、嫌いで、否定したくなったりするでしょう。

 

 

しかし私たちが「命からあふれて表現されるもの」を否定すると、報復の女神に狙われてしまいます。

 

エリニュスは実際に母親や家族を侮辱するもの、老人や客人に失礼な態度をとるもの、権力者や有力者が下の立場の者に横柄な態度をとるものに報復をしたそうです。

 

つまりそれは「誰の、どのような存在や態度や生きざまであっても、その命の尊厳は守られるし、否定することはできない」ということでもあるのでしょう。

 

目の前の相手を否定するということは、自分の一部を、自身の存在と尊厳を否定するということでもあるんですね。

 

エリニュスは報復の対象をいつまでもしつこく追跡して死に追いやるという、実に蠍座的な粘り強さを持っている恐ろしい女神です。

 

この「しつこく追跡して」というのは、まさに否定すればするほど、その対象が姿を変え、形を変えて現れるということかもしれないし、それを観念して「これは自分なのだ」と認めるまで……古いエゴの思い込みが死ぬまで続くということなのかもしれません。

 

そうして世界で出会うあらゆる人が、世界で起こるすべてのことが、自分の内で起きているものが映し出されているのだという観念に至るということが、悟りへと続いていく金星の道なのかなと思います。

 

なかなかそれを実行することは簡単ではなく、目の前の誰かに心を揺らされることも多々ありますが、その心の揺れのなかに、しっかりと自分自身を見つけ出していきたい、ウエサクの満月です。