スンバ島ワイクドゥ村での野菜作り研修
2017年4月から始まったインドネシア・スンバ島ワイクドゥ村での野菜作り研修は9月に終了しました。この半年間、研修農場で行われたことをレポートします。
まず初めに、LIFEの野菜作り研修とは・・・
私たちLIFEが野菜作り支援を行っているスンバ島東スンバ県は首都ジャカルタから1,500㎞ほど東に位置しています。かつては緑に覆われた島でしたが、過度な森林伐採や野焼きの習慣、乾季の期間が長引くという近年の異常気象から現在の島の森林率は5パーセントほどといわれています。
川はあるのですが、起伏の大きなスンバ島では川は谷と谷の間の低いところを流れているためくみ上げて農業に水を利用することが困難です。また、東スンバ県は雨が降らない期間が9ヶ月と長いので乾季の間は枯れてしまう川もあります。その結果、農業は3ヶ月程度しかない雨季の間にしかできず、収穫量が少ないため野菜を販売して現金にすることが困難でした。
そこで私たちは現地のNGOと協力して、お金を持たない村の人たちにも始めやすい地元の植物や家畜のフンを利用した有機農法で野菜作りを広めています。同時に、川から村の畑までの給水設備も整備しています。研修を終了した村は、一年を通して野菜を作って販売できるようになっています。
それでは、ワイクドゥ村での野菜作りをレポートします。
これからこの土地を耕して畑にするぞ!!
まずは、畑作り。
みんなで協力して平らな畑ができました。
そして、根っこ、茎、葉っぱなど植物の作りを勉強しました。
村の長老のうちに集まり現地NGOスタッフの話を熱心に聞く参加者たち。
ビニール製のポットを購入するにはお金が必要になります。だから、種をまくポットをバナナの葉っぱで作ります。苗が育ったらポットのまま畑に植えます。バナナの葉はいずれ腐って土に還ります。
バナナの葉のポットに土と野菜の種を入れます。
子どもたちもお手伝いします。
発芽するとこんな感じです。
畑に水をまき、苗ポットを畑に植えます。
有機肥料も手作りです。村にある竹の葉、バナナの幹を削ったもの、米のとぎ汁、魚を洗った水、やし砂糖などを混ぜてつくります。この時にミミズやカタツムリを入れると発酵が進むそうです。
肥料が出来上がるとこうなります。
川から水をくみ上げるポンプも設置しました。村には電気はありません。お金のかかるガソリンも買えません。このポンプは川の流れを動力にして水をくみ上げることができます。
くみ上げた水はタンクにためます。野菜に水をやるときは、このタンクから水を出します。この写真はタンクが村に到着した時のものです。ちなみにこの村の子どもたちは、この川を渡ったりうしろの山を越えたりして歩いて学校へ通っています。
水は給水管を通ってポンプからタンクに入り、蛇口から出ます。
8月頃には畑は野菜でいっぱいになりました。もうすぐ収穫です。
トマトの添え木も村の竹を使って自分たちで作ります。
9月、ついに収穫です。
ネギです。
チンゲン菜です。
トマトです。この写真は町の大学生が研修農場に見学に来た時のものです。乾季に野菜が育つなんて知らなかったと、みなさんとても驚いていました。
これまで、野菜を作って販売することのなかった村の皆さんですが、これからは野菜作り農家として自立して農業を営んでいきます。現地のNGOの話では、今後1軒の農家さんが毎月2,000円程度は収入を得られるのではないかということでした。これまで、収入はほとんどありませんでしたから、生活が向上する大きな一歩となりました。
今後は現地のNGOがフォローして問題などが発生した時は解決していきます。収穫量が増えたら農業協同組合を設立し、野菜の加工品などの製造にもチャレンジしていこうと検討しています。
最後に。
スンバ島上空から撮影した写真です。
丘陵地帯がどこまでも続いています。緑色のところは木々で、谷になっていて川が流れているところだと思われます。白い筋は道です。舗装はされていません。住居はこの道沿いに点在しています。子どもたちはこの道を歩いて学校まで通います。
こちらは空港があるワインガップの町です。
ワインガップには大きな川があるので、スンバ島の農村部に比べるとだいぶ木々があるのがわかります。
私たちLIFEは年に一ケ村のペースで野菜作り支援を行っています。来年もまた別の村で野菜作り研修を開催できるよう皆さまのご寄付をお待ちしています。
http://earth-ngo.jp/volunteer/donation/
今後ともLIFEの活動をよろしくお願いします